ローリングストーンズの名曲名盤ランキング!代表曲や有名曲まとめ

ローリングストーンズの名曲名盤ランキング!代表曲や有名曲まとめ

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もうすぐ結成60年を迎えるローリング・ストーンズは数多くの曲を発表しているので、どれから聴いたらいいのかわからない方もいると思います。

そこで、音楽誌の評価やファンの人気度を参考にしながら個人的な好みも加えてアルバム5選、名曲20選、隠れた名曲5選をランキングにしてみました。

まだストーンズを体験したことがない方は参考にしてみてください。

目次

これだけは持っておきたいローリングストーンズの名盤5選

一目でわかるローリングストーンズの名盤5選

  • 1位 Exile on Main St.
  • 2位 Sticky Fingers
  • 3位 Let It Bleed
  • 4位 Beggars Banquet
  • 5位 Aftermath

1位 Exile on Main St.

収録曲
マニアック
万人ウケ
サウンド
エグい
マイルド
おすすめ度
普通
激推し!

1972年5月にリリースされたこのアルバムは、ストーンズにとって初の2枚組です。

プロデューサーはストーンズの名作には欠かせないジミー・リード、もちろん英米でNo.1を獲得しました。

音楽誌の評価はストーンズのアルバムの中で最も高く、ローリング・ストーン誌(以下 RS誌)が発表した「歴代最高のアルバム500選」で7位、ニュー・ミュージカル・エクスプレス誌(以下 NME誌)の「史上最高のアルバム500」で24位、英ガーディアン紙のストーンズのアルバム・ランキングで2位にそれぞれ選ばれました。

ファンが選ぶストーンズのアルバム・ランキングでも常に上位につけるなど人気が高く、専門誌からも高く評価されている作品です。

主な収録曲

・チャック・ベリー風のギター・ブギにいつになく攻撃的なニッキー・ホプキンスのピアノ、ボビー・キースとジム・プライスのド派手なホーン…1曲目の“Rocks Off”で早くも圧倒されます。

・“Shake Your Hips”はスリム・ハーポのカバー。ミックは自分のボーカル・スタイルを貫いていますが、原曲と聞き比べると完コピに近い仕上がりであることがわかります。

・えげつないノリの“Tumbling Dice”は、ストーンズを代表する名曲。

・“Sweet Black Angel ”は、アコギをバックにミックとキースがハモりっぱなし。抑揚なくリズムを刻むギロとマリンバがカリブの雰囲気を出しています。

・キースがリード・ボーカルを担う“Happy”はベスト盤にも収録される人気。この頃のキースはギターを持てば次々と新しいリフが思い付いていたのではないでしょうか?

・フェイザーを使ったギターのアルペジオが印象的な“Let It Loose”は、ストーンズの名バラード。ドクター・ジョンがバック・コーラスで参加しています。

・ニッキー・ホプキンスのゴスペル調のピアノとオルガンが荘厳な雰囲気を醸し出している“Shine a Light”。ミックのボーカルも素晴らしい!

熱帯病が作った「4つの」アルバム

1971年7月に始まったこのアルバムのレコーディングは、南フランスにあるキースの新居の地下スタジオに、機材付トレーラーを持ち込んで行われました。

当時、ミックと結婚したばかりのビアンカは妊娠していて、彼女を見舞うためにミックは度々スタジオを離れたと言われています。そのおかげ(?)でキースを中心にリラックスしたムードでレコーディングが行われたようです。しかし南フランスの夏は非常に暑く、当初、このアルバムには“Tropical Diseases(熱帯病)”という仮タイトルが付けられていたそうです。

収録曲が多いいためか散漫な印象があり、リリース当時は批判させることも少なくなかったようです。それに対してミックは、2枚のレコードの4面をそれぞれ独立したアルバムとして聞いてほしいと応えています。

王者の風格

前作の“Sticky Fingers”で確立したサウンドから更に深く掘り下げ、ブルースやカントリー等のアメリカ音楽の色が濃くなりました。それは彼等が探し求めたサウンドであり、やっと見つけて肩までどっぷり浸かったようにも感じられます。

レコーディングの開始当時は28歳だったミックとキースが、すっかり円熟していることに驚かされます。

自分達の作った曲に対する自信と王者の風格とでも言いたくなる余裕が滲み出ていることが、このアルバムの最大の魅力なのかもしれません。

永遠の名盤

名曲が多いものの、一般的なロック・アルバムに比べるとややマニアックでもあり、ストーンズ入門者にはとっつき難いアルバムかもしれません。しかし、何回か聴き返しているうちに、このアルバムがいかに素晴らしいかわかっていただけると思います。

人間味溢れる楽曲が収められたこのアルバムは、数十年後も「名盤」として称えられていることでしょう。

2位 Sticky Fingers

収録曲
マニアック
万人ウケ
サウンド
エグい
マイルド
おすすめ度
普通
激推し!

デッカ・レコードとの契約が切れ、新たに設立したローリング・ストーンズ・レコードの記念すべき1作目となったこのアルバムは、1971年4月にリリースされて英米でNo.1を獲得しました。

RS誌の「歴代最高のアルバム500選」で63位、NME誌の「史上最高のアルバム500」で55位、ガーディアン紙によるストーンズのアルバム・ランキングで1位、評論家ジョン・ウェンツェル氏がエスクワイア誌に寄稿したストーンズのアルバム・ランキングでも1位に選ばれています。

ストーンズのサウンドとストーンズのイメージ、ストーンズらしさを最もわかりやすく伝えてくれるアルバムです。

主な収録曲

・オープニングを飾るのはカッコいいギター・リフが印象的な“Brown Sugar”、彼等の代表曲です。

・歪ませたギター・サウンドで重いテンポの“Sway”は、ミックのボーカルが激しく、ニッキー・ホプキンスのピアノとミック・テイラーのギター・ソロが絶品!

・“Wild Horses”はストーンズの全キャリアで最高と言えるバラード。

・強烈なタイトルと意味深な歌詞の“Bitch”は“Brown Sugar”とカップリングされました。怖いもの知らずのシングルです。

・前作のレコーディングでも録音されていた“Sister Morphine”では、ライ・クーダーが素晴らしいスライド・ギターを披露してくれています。

メンバーが認める傑作

前作の“Let It Bleed”で自分達のサウンドの方向性を明確にしたストーンズは、今作でもサザン・ロックをメインにした曲を取り揃えました。しかし、“You Gotta Move”のようにブルースやカントリー・ミュージックを直接再現している曲は稀で、しっかりとストーンズのサウンドに変換していて、メンバーもこのアルバムが自分達の傑作だと認める発言をしています。

ブライアン・ジョーンズがグループを去り、新しくミック・テイラーが加入したこともサウンドに変化をもたらしました。

ブライアンも天才肌のミュージシャンでしたが、ミック・テイラーのようなとんでもないテクニシャンが仲間に入ったことはストーンズにとって大きなプラスと言えるでしょう。

ヘビーだった1年

ブライアンの死やオルタモントの悲劇があった1969年はストーンズにとって散々な1年でした。このアルバムを制作していた1970年も結構ヘビーな1年で、マネージャーのアラン・クレインとのゴタゴタ、それを起因とするメンバーのフランス移住などの合間を縫ってレコーディングを続けていたと言われています。

愛されるロゴ・マーク

アンディ・ウォーホルによるジッパー付ジャケットのインパクトもさることながら、ストーンズのロゴ・マーク“Tongue and Lip”が登場したのもこの頃でした。

ストーンズのイメージにピッタリなデザインは好評で、2018年にイギリスで2000人を対象に行われた投票で「最もアイコニックなTシャツ・デザイン」の1位に選ばれています。

3位 Let It Bleed

収録曲
マニアック
万人ウケ
サウンド
エグい
マイルド
おすすめ度
普通
激推し!

1969年12月にリリースされた歴史的名盤はイギリスでNo.1を獲得し、アメリカでも3位となりました。

RS誌の「歴代最高のアルバム500選」で32位、NME誌の「史上最高のアルバム500」で52位、ガーディアン紙によるストーンズのアルバム・ランキングで4位に選ばれています。

個人的な評価が最も高く、ストーンズに限らず世にある全てのアルバムで最高水準だと思っています。

とにかく全曲が素晴らしい!

主な収録曲

・オープニング・ナンバーの“Gimme Shelter”は、ベトナム戦争に影響された過激な歌詞とソウルフルなメリー・クレイトンのボーカルが印象的な曲です。

・“Country Honk”は、シングル“Honky Tonk Woman”をテンポ・アップしてアコギとフィドルがメイン。緊張感のある曲が多いアルバムの中で唯一穏やかな雰囲気があります。

・タイトル曲の“Let It Bleed”は、イアン・スチュアートの味のあるピアノとキースのスライドをバックに、ミックが素晴らしいボーカルを披露しています。

・キースが初めてメイン・ボーカルを務めた“You Got the Silver”は、ライ・クーダーの“Dark Is the Night”を思い起こさせるようなスライド・ギターも魅力。

・ミステリアスなイントロで始まる“Monkey Man”は、シンコペーションを使って微妙なリズムを作り出すギターのカッティングがカッコいい。弦の鳴りからフィンガー・ピッキングだと思っていますが真相は?

多彩なゲスト・ミュージシャン

このアルバムのレコーディング中にブライアンが脱退してしまったことは残念でした。

急遽招かれたミック・テイラーも”Country Honk”と”Live With Me”の2曲でしかプレイしていないため、このアルバムのギターの大半がキースによるものです。クリーンなトーンから歪ませた音を使った歯切れのいいカッティング、アコギでは穏やかなアルペジオからスライド・プレイまで大活躍です。

こうした人手不足のためか、このアルバムのゲスト・ミュージシャンは多彩です。

準メンバーとも言えるイアン・スチュアートとニッキー・ホプキンスを始め、無名の歌姫メリー・クレイトン、アメリカの音楽界で既に地位を確立していたレオン・ラッセル、ソング・ライター兼マルチ・プレーヤーのアル・クーパー、ストーンズのレコーディングに初参加となったサックスのボビー・キーズ 、そしてロンドン・バッハ合唱団などそうそうたるメンバーがスタジオを集まりました。

キースとライ

もう1人忘れてはならないゲスト・ミュージシャンがいます。

このアルバム以降のストーンズのギター・サウンドに大きく影響を与えたスライド・ギターの名手、ライ・クーダーです。

彼のプレイは“Love in Vain”のマンドリンだけクレジットされていますが、キースにスライド・プレイやフィンガリングについてもアドバイスをしたと思われます。

しかし、レコーディング途中にライはスタジオを去り、後に「“Honky Tonk Woman”のリフを作ったのは自分だ」「彼等は俺のフレーズを盗んだ」とキースを批判します。それに対してキースは「オープン・チューニングを教えてくれただけ」と返しました。

どちらが嘘をついているのかわかりませんが、素晴らしいアルバムが出来たので結果オーライとしましょう。

4位 Beggars Banquet

収録曲
マニアック
万人ウケ
サウンド
エグい
マイルド
おすすめ度
普通
激推し!

1968年リリースされたこのアルバムは、イギリスで3位、アメリカでは5位となりました。

RS誌の「歴代最高のアルバム500選」で57位、NME誌の「史上最高のアルバム500」で94位、ガーディアン紙によるストーンズのアルバム・ランキングでは3位に選ばれています。

チャート・アクションは前作に及びませんでしたが、誰にも媚びず、少し開き直って自分達が本当に追い求めるサウンドをしっかりと見付けたのではないでしょうか?

勝手に評価させてもらえば、このアルバムは「第2期ストーンズ」の幕開けを告げた作品だと思っています。

主な収録曲

・サンバとゴスペルが合体したような“Sympathy for the Devil”は、意味深なタイトルと歌詞が物議を醸しました。

・“Jigsaw Puzzle”ではキースが鋭いスライド・ギターを披露。

・アップ・テンポな2ビートで演奏される“Prodigal Son”は、戦前のブルース・シンガー、ロバート・ウィルキンスのカバーで、キースがアコギを掻き鳴らしています。

・“Stray Cat Blues”では、曲の後半でブライアンが弾くメロトロンが聞こえます。

・“Factory Girl”は歌メロに添うようにマンドリンが弾かれ、フィドル、コンガやタブラも良い雰囲気を出しています。ミックのボーカルがたまりません。

原点回帰と覚醒

前年にリリースされた“Their Satanic Majesties Request”は実験的な要素が多く、サイケデリック・サウンドに傾き過ぎたため、音楽的にやや迷走してしまった印象がありました。

本作については彼等のルーツであるブルースへの回帰が見え、それをストーンズのサウンドとして仕上げています。

プロデューサーのジミー・リードの手腕もあったのか、全曲を通してサウンドが明らかに変わり、後に進むべき方向を悟ったような印象があります。そうした意味でこのアルバムは彼等のターニング・ポイントと言えるでしょう。

なお、ブライアンがレコーディングに参加する機会が大幅に減ったため、このアルバムのギターのほとんどはキースによるものです。

最高にカッコいいトイレ

現在では普通に見られるようになった「便所ジャケット」は、当初、デッカ・レコードから拒否されました。ストーンズ側もあれこれと歯向かいましたが、結局無難なジャケット・デザインに変更してリリースされました。

確かに今の時代でもなかなかパンチがあるデザインですが、ジャケット・デザインだけで評価するなら、全てのロック・アルバムの中でもベスト3に入ります。50年以上も前にこんなデザインを思い付くとは凄過ぎる。

取り残されたブライアン

グループのリーダーだったブライアンは才能に恵まれていて、初めて手に取る楽器でも10分程度で面白いアイデアが閃くことがあったと言われています。“Paint It Black”でシタールを弾き、“Dandelion”ではサックス、その他の曲ではマリンバやメロトロンも演奏しています。作曲こそしなかったものの、初期のストーンズのサウンドには大きく貢献していました。

成功を掴むと彼は変わり始め、メンバーと衝突を繰り返し、かつての才能は影を潜めてしまいました。ブライアンはこのアルバムのレコーディングにあまり参加していませんが、“No Expectations”のスライド・ギターは彼の演奏で、まるで自身の孤独や悲しみを表しているようです。

5位 Aftermath

収録曲
マニアック
万人ウケ
サウンド
エグい
マイルド
おすすめ度
普通
激推し!

このアルバムは、1966年4月にイギリスでリリースされて8週間も首位を独占、6月には収録曲を変えてアメリカでもリリースされ2位となりました。

音楽誌の評価は、RS誌の「歴代最高のアルバム500選」で108位、ガーディアン紙によるストーンズのアルバム・ランキングで5位に選ばれています。

プロデューサーは、これまでの彼等のアルバムと同様にストーンズのマネージャーでもあるアンドリュー・オールダムが努めています。

主な収録曲

・シタールのようなスライド・ギターが印象的な“Mother’s Little Helper”は、歌詞の内容が問題視されましたがシングル・チャートで8位になりました。

・“Lady Jane”は、静かなギターのアルペジオとダルシマーを効果的に使った美しいバラード。ミックの恋人だったマリアンヌ・フェイスフルへの思いをしっとりと歌っています。

・“Under My Thumb”は、シングル・カットされませんでしたが音楽誌の評価が高く、初期のストーンズを代表する曲です。

・11分を超える彼等にとって最長の“Goin’’ Home”は、歌詞が問題視されアメリカの一部のラジオ局で放送禁止となりました。

・“Out of Time”は、“Under My Thumb”以上にマリンバを使用し、ポップに仕上げています。

初の全曲オリジナル

ストーンズにとって初の全曲オリジナルとなったこのアルバムは、初期の集大成でありながら、次のステップに向かうまでの過渡期の作品とも言えるでしょう。

それまでと同様にロック調の曲はあるものの、“Out of Time”や”Take It or Leave It“のようにマリンバやハープシコード、ダルシマー、琴など様々な楽器を使ったポップな楽曲の方が目立ちます。

そうした一方で、ブルース調の“Doncha Bother Me”やCW風の“High And Dry”など今後の彼等が向かうサウンドの方向性もしっかりと捉えていて、後の“Beggars Banquet”にも繋がっているようにも思えます。

それぞれの曲の個性が強く、アルバムとしての統一感はないかもしれませんが、キャッチーな曲を多数収録したこのアルバムは自信を持っておすすめできる名盤です。

ローリングストーンズの名曲ランキング

一目でわかるローリングストーンズの名曲ランキング

  • 1位 Sympathy for the Devil
  • 2位 Gimme Shelter
  • 3位 Paint It, Black
  • 4位 Tumbling Dice
  • 5位 Jumpin’ Jack Flash
  • 6位 (I Can’t Get No) Satisfaction
  • 7位 Wild Horses
  • 8位 You Can’t Always Get What You Want
  • 9位 Brown Sugar
  • 10位 Honky Tonk Woman
  • 11位 Street Fighting Man
  • 12位 Get Off of My Cloud
  • 13位 The Last Time
  • 14位 Angie
  • 15位 Ruby Tuesday
  • 16位 Undercover of the Night
  • 17位 Start Me Up
  • 18位 Can’t You Hear Me Knocking
  • 19位 It’s Only Rock n Roll ‘(But I Like It)
  • 20位 Midnight Rambler

1位 Sympathy for the Devil

名曲パラメーター
音楽誌の評価
84
人気
78
個人的な評価
90
名曲度
84
衝撃度
90

アルバム“Beggars Banquet”の冒頭を飾るこの曲は、1968年のリリース当時はシングル・カットされませんでしたが、ストーンズを代表する曲となりました。

RS誌が発表した「ストーンズのベスト100」で3位、「最も偉大な500曲」では32位、同誌のファンが選んだ「ストーンズの偉大な曲」では2位、NME誌の「史上最高の曲500」で227位に選ばれました。

コンサートやベスト盤で欠かせないこの曲は、多くのストーンズ・ファンが認める名曲で、個人的な評価も高いことから、こちらの名曲ランキングで1位に選びました。

曲の内容

ガーナ出身のパーカッショニスト、クワシ・ロッキー・ディジョンのコンガにミックのマラカス、ビルが担当した西アフリカの打楽器シェケレが、サンバとアフリカ音楽が融合したようなリズムを作り出します。

その間、ミックの遠吠え(?)と女性が談笑する声がミックスされていて、この曲に対する期待値が上がったころにニッキー・ホプキンスのピアノが静かに入り、それと同時に憎いほど丁寧な口調でミックが「自己紹介」を始めます。

8小節を使って自己紹介を一通り済ますとキースのベースがリズムを刻み出し、2コーラス目に入るとピアノが少しずつ暴れ始めます。

ミックのボーカルも激しくなりながらこの歌の主の正体を明かし、エンディングに向かうと憑りつかれたように絶叫!耳に突き刺さるようなキースのギターも強烈です。

6分を超える曲でありながらゾクゾクするような緊張感が絶えることなく、一気に聞かせてくれます。

この曲のメインはやっぱりニッキー・ホプキンスのピアノ、そしてメンバーやマリアンヌ・フェイスフル、アニタ・パレンバーグ、スタッフが総動員された“Woo,woo”のコーラスです。時折微かに聞こえるゴスペルっぽい女性コーラスもこの曲の隠し味となり、宗教儀式のような雰囲気を作り上げています。

やはり怖い曲?

タイトルや歌詞の内容、曲の雰囲気から、リリース当時は「悪魔崇拝」と物議を醸したと言われています。この曲が発表された数か月後に元メンバーのブライアンが亡くなったことも不気味さを際立たせることになりました。

歌詞の中ではキリストの処刑、ロシア革命、第二次世界大戦、そしてケネディ兄弟の暗殺などを採り上げ、それら全てに関与したとこの曲の主は歌い、ミステリアスで呪術的なサウンドも相まって良識派の神経を逆撫でしました。

オルタモントの悲劇が起きたことにより、この曲はセット・リストから外されましたが、1975年以降は再びコンサートで演奏されるようになりました。こんな曰く付きの曲ですが当然のように大盛り上がりです。

もしかしたらこの曲には人々を虜にする魔術が仕込まれているのかもしれませんね。

2位 Gimme Shelter

名曲パラメーター
音楽誌の評価
91
人気度
68
個人的な評価
78
名曲度
79
衝撃度
70

1969年にリリースされたアルバム“Let It Bleed”のオープニングに収録されたこの曲は、英米ではシングル・カットされませんでしたが、非常に評価が高くて人気のある曲です。

RS誌の「ストーンズのベスト100」で1位、「最も偉大な500曲」で38位、同誌のファンが選んだ「ストーンズの偉大な曲」で1位、NME誌の「史上最高の曲500」で29位に選ばれています。

個人的には“Let It Bleed”の評価は非常に高いですが、この曲に対してはそれほど思い入れがないため、こちらのランキングでは2位になりましたが、ストーンズのベスト・ソングの1曲であることに間違いないでしょう。

曲の内容

ミュートして分散したコードを弾き、それにトレモロとリバーブを効かせたギターのイントロで始まり、5小節目からはギロとスネア(イントロのみブラシ?)がリズムを刻み出します。

静かな立ち上がりから一転して曲調は激しくなり、チョーキングを多用したねちっこいギター・フレーズ、音が割れまくったミックのブルース・ハープが更に曲を盛り上げます。

圧巻なのはソウル・シンガーであるメリー・クレイトンのボーカルで、当時20歳の彼女はミックと対等に歌うばかりか、間奏後にはリード・ボーカルも担当しています。あまりの激しさに声が裏返り、ミックが合いの手の様に声を掛けていますが、さすがのミックも彼女のパワーには驚いたのではないでしょうか?

当初の予定ではデラニー&ボニーのボニー・ブラムレットがレコーディングに参加する予定でしたが、急遽代役に抜擢されたのがメリーでした。ストーンズのことを知らなかった彼女は、物怖じすることなく数テイクで歌い上げたと言われ、アメリカの音楽業界の裾野の広さを改めて実感させられます。

この曲のレコーディングにはブライアンもミック・テイラーも参加していなかったので、メインのギターはもちろん、オブリガートやギター・ソロも全てをキースが演奏、ニッキー・ホプキンスのピアノは抑えた演奏で、この曲ではギター・サウンドを活かす裏方に徹しています。

60年代の終わりを告げた曲

作詞、作曲共にキースによるものです。嵐や洪水、些細なきっかけで始まってしまう戦争によって自分の命が脅かされているという歌詞は、ベトナム戦争や要人暗殺など不穏な空気が漂っていた60年代を総括しているように思えます。

陰鬱なサウンドは当時の空気を表していて、いつ何が起きても不思議ではないヒリヒリとしていた時代を思い起こさせます。

バチ当りにもこの曲を、傑作アルバムのオープニングという印象しか持っていませんでしたが、今回のランキングを作成しながら、この曲の評価と人気がいかに凄まじいかわかりました。

3位 Paint It, Black

名曲パラメーター
音楽誌の評価
74
人気度
77
個人的な評価
81
名曲度
78
衝撃度
70

1966年にシングルとしてリリースされたこの曲は英米でNo.1を獲得し、RS誌の「ストーンズのベスト100」で6位、「最も偉大な500曲」では176位、同誌のファンが選んだ「ストーンズの偉大な曲」では3位、NME誌の「史上最高の曲500」で136位と正にストーンズを代表する名曲です。

ストーンズの雰囲気がたっぷり詰まったこの曲に対する個人的な評価も高いことから、こちらのランキングでは3位になりました。

悲しくて怖い歌詞

この曲の邦題の「黒く塗れ!」ってカッコいいと思いません?「悪魔を憐れむ歌」に比べるとそのまんまなんですけど、シンプルで素晴らしいタイトルです。

歌詞にも「黒く塗れ!」ってフレーズは度々登場します。当然ですけどね。

歌の出だしから“I see a red door and I want it painted black(赤いドアを見ると黒く塗りたい)”なので、反体制ソングみたいな歌詞に思えますが、歌が進むにつれて大切な人を亡くして悲しみのあまり自棄になった男の歌であることがわかります。

「夜のように黒く塗りたい、炭のように黒く塗りたい、太陽を空から消し去りたい」って気持ちはわからなくもないですが、「夏服を着た女の子達がそばを通り過ぎた。俺の中の闇が去るまで、見ないようにした」って部分はちょっと怖いです。

ちなみに、タイトルの“Paint it, Black”は、黒人に対する命令口調に解釈されることを避けるため、リリース当時はカンマを取って表記されることがあったそうです。

ゾクゾク感の秘密

ストーンズのメンバーの中では様々な楽器を演奏する機会が多いブライアンは、この曲のイメージを決定付けるシタールを弾いています。

この曲の半年ほど前に発表されたビートルズのNorwegian Wood (This Bird Has Flown)のシタールとは全く違う使い方で、曲をエキゾチックな雰囲気にしています。インド音楽の師であるラビ・シャンカールの弟子に演奏法を習い、ジョージ・ハリソンにもアドバイスをもらったとか。そんな努力が実を結び、素晴らしいサウンドになりました。

ギターはKeyをEとした場合、EmとBの繰り返しでAメロ、サビはEm-D-G-D Em-D-G-D-A-Bとなりますが、イントロのドラムの後に続く「シャララーン」は、EmよりもEadd9の方が雰囲気を出せると個人的に思っています。

ボーカルの陰で細かいフレーズを弾いているギターとシタールが聞きどころで、一般的なロックで聞くギターの響きやピッチではないことが、この曲から受けるゾクゾク感の秘密と言えます。アウトロにボレロっぽくコードを掻き鳴らすギターがカッコいい!

4位 Tumbling Dice

名曲パラメーター
音楽誌の評価
65
人気度
80
個人的な評価
85
名曲度
77
シラフでも酔える度
90

アルバム“Exile on Main St.”の先行シングルとしてリリースされたこの曲は、イギリスで5位、アメリカでは7位となりました。

RS誌の「ストーンズのベスト100」で24位、同誌のファンが選んだ「ストーンズの偉大な曲」で9位、RS誌やNME誌が発表した「500曲」にも選ばれた名曲です。もちろんコンサートやベスト盤の常連曲で、評論家の評価が高いだけではなくファンからも支持されています。

個人的にもこの曲に対する評価は非常に高く、今回のランキングで4位に入ったことに納得しています。

曲の内容

チャーリーとプロデューサーのジミーによるツイン・ドラムが危ういリズムを刻み、キースの5弦ギターはそのリズムを更にエグくしています。

ミック・テイラーはギターを膝の上に置いてスライド・ギターをプレイ、その他にベースも担当し、ビルやキースのベースとはまた違うノリを披露。ピアノはこの頃のストーンズ・サウンドには欠かせないニッキー・ホプキンスで、リラックスした曲の雰囲気を壊さぬように華やかさをプラスしています。

ゴスペル感たっぷりの女性コーラスは、当時LAを拠点に活躍していたヴェネッタ・フィールズ、クライディ・キング、シャーリー・マシューズ達が参加しています。ちなみにクラウディは、2位の“Gimme Shelter”のメリー・クレイトンと同じくレイ・チャールズのバック・コーラスの出身です。

独特のグルーブ感にはコクがあり、ミック・テイラーのアーシーなスライドやアメリカ南部を思わせる女性コーラスなどから「究極のストーンズ節」と言えるこの曲は、ストーンズの全ての作品の中で最も中毒性があると言えるでしょう。

これでいいんです

この曲はキースのギター・リフに合わせて、ミックがメロディを探しながら曲作りを進めたと言われています。

ある程度曲の形が整い、初めて録音されたのは前作”Sticky Fingers”のレコーディングでしたが、タイトルも歌詞の内容も完成形とは違い、ややアップ・テンポだったとか。誰の意見でテンポを下げたのか不明ですが、やっぱり完成形のユルさがたまりません。

5位 Jumpin’ Jack Flash

名曲パラメーター
音楽誌の評価
77
人気度
81
個人的な評価
72
名曲度
76
盛り上がり度
80

アルバム“Beggars Banquet”に先がけて1968年にリリースされたこの曲は、イギリスで1位、アメリカでは3位のヒットを記録しました。

音楽誌の評価も高く、RS誌の「ストーンズのベスト100」で7位、「最も偉大な500曲」では125位、同誌のファンが選んだ「ストーンズの偉大な曲」では6位、NME誌の「史上最高の曲500」で131位に選ばれています。

コンサートでも毎回のように演奏され、ベスト盤にも絶対欠かせないストーンズの代表曲です。

本当の作者は?

前作のアルバム“Their Satanic Majesties Request”のサイケデリックなポップ路線からガラッと変わってロックに戻ったこの曲は、ストーンズの名作請負人とも言えるジミー・ミラーによる初プロデュース作品です。

この曲のクレジットは他の曲と同様にジャガー&リチャードですが、リフはビルが作ったそうです。

クレジットに自分の名前を入れてもらえないビルは不満だったと思いますが、イントロから曲中を通じて存在感があるベースが、実はキースが弾いているってことにも不満を言えばいいのに…でもビルが弾いたオルガンも曲をしっかり盛り上げています。

ギター・サウンドの秘密

この頃からキースはオープン・チューニングを使い始め、この曲はオープンEで演奏しています。

レコーディング方法もユニークで、アコギを一旦カセット・レコーダーに録音したものがベーシック・トラックとして使われているのだとか。

イントロのB – E – Aのコード・ストロークはアコギだとわかりますが、まさか1曲通して全てアコギだったとは思いませんでした。間奏が始まって2~3小節目にかけて音が揺れているように感じますが、もしやテープが伸びていたのでしょうか?

それにしてもカセット・レコーダーをレコーディングに使用するとは恐れ入りました。

もう一人のストーンズ・メンバー

この曲のピアノは、ストーンズの創世記から活動を共にするイアン・スチュワート。

レコード会社との契約する際に、イメージが合わないからとメンバーから外されました。それをイアンは穏やかに受け止め、「楽器運びでも運転手でもしてこの先も手伝うよ」と答えたそうです。

ストーンズの初めてのリハーサルに一番乗りするほど、誰よりもストーンズを愛し、可能性を信じていたのはイアンでした。

キースは「あいつは心が広くて本当に献身的だったよ」と語っています。

6位 (I Can’t Get No) Satisfaction

名曲パラメーター
音楽誌の評価
73
人気度
88
個人的な評価
60
名曲度
74
衝撃度
90

「6位?」と思われた方もいるもしれませんが、個人的にこの曲に対する評価は低いです。もちろんストーンズを代表する曲で、ストーンズと言ったらこの曲ということも十分承知しています。
そのような理由から「どうせ20位以内に入るから厳しく評価しても問題ないだろう」という考えに至りました。こちらのランキングに入った曲の中では個人的評価が最低です。それでも6位って!?
1965年にリリースされたこの曲は、彼等にとって初のNo.1ヒットとなりました。もちろんイギリスでもトップを飾り、RS誌の「最も偉大な500曲」では2位、同誌のファンが選んだ「ストーンズの偉大な曲」で4位、コンサートやベスト盤に欠かせないこの曲は、どれだけ個人評価を下げても上位に入る憎っくき曲です。
でも、このランキングを作るために久々に聞き直したらやっぱりいい曲です。

シングル・カット反対!?

ストーンズらしいオリジナリィを発揮した初めての曲で、荒々しいサウンドはもちろん、この時代の若者の不満を代弁している歌詞は共感を呼びました。

ツアー中のホテルのベッドでキースがこの曲を思い付き、当初はフォーク調の曲として作ったと言われています。やがてテンポを変え、ファズ・ボックスを使用して歪ませたギター・リフを前面に押し出すアレンジになりました。

ちなみにこの曲をきっかけにファズも世界的に有名になったという説もあります。

もちろんギター・リフだけでなく、緩急が大きいミックのボーカルと激しいチャーリーのドラム、掻き鳴らすようなアコギ、アクセントとして効果的なタンバリンなどが丁度よくブレンドされ、ロックを代表する名曲になりました。

しかし、作曲したキースにはフォークのイメージがあるらしく、この曲をあまり好まなかったと言われています。キースだけでなくミックもシングルにすることを反対していたので、もし、この曲をシングルにしていなかったらその後のストーンズは変わっていたかもしれませんね。

誤解と噂

アメリカの音楽番組「シンディング」でリリース直前のこの曲を歌ったところ、歌詞にある”girlie action”が、性的な意味の“girl’s reaction”に聞こえたため、放送の際に「ピー」で消されたそうです。

また、この曲はオーティス・レディングがカバーしていて、あまりにも彼にハマる曲だったため、オーティスがストーンズにこの曲を売ったとの噂があったとか。

ヒット曲にもこんなエピソードがあるって、いかにもストーンズらしいですね。

7位 Wild Horses

名曲パラメーター
音楽誌の評価
63
人気度
73
個人的な評価
85
名曲度
74
切なさ
80

アメリカで1971年に“Sticky Fingers”からシングル・カットされ、最高28位に止まりましたが、RS誌の「ストーンズのベスト100」で8位、「最も偉大な500曲」で343位、ファンが選んだ「ストーンズの偉大な曲」では5位に選ばれています。

もちろんベスト盤にも収録され、音楽誌の評価が高いだけではなく、ファンからも支持されている名曲です。

曲の内容

カントリー・バラード風のこの曲は、こちらの名曲ランキングの中では最も大人しいですが、曲調、演奏、雰囲気の全てが素晴らしいです。

曲全体を優しく包む12弦のアコギがキース、ミック・テイラーのアコギはハーモニクスを多用し、それが歌を邪魔せずしっかりと溶け込んでいます。

エレキによるスライドはキースと言われていますが、音の選び方やフレージングからミック・テイラーが弾いているのではないかと。ジム・ディッキンソンによる出しゃばらないピアノ・プレイも秀逸。

この曲には、フライング・ブリトー・ブラザーズのグラム・パーソンズとの交流が反映されており、アコギはグラムから伝授されたナッシュビル・チューニングが使用されていると言われています。

切ないボーカル

歌詞はミックの恋人だったマリアンヌ・フェイスフルに宛てたような内容と噂されましたが、ミック自身は否定しているようです。当時の二人の関係から“Let’s do some living after we die(死んだら一緒に暮らそう)”って言葉が妙にしっくりくるんですけど。

激しく歌うミックも良いですが、この曲の絞り出すような切ないボーカルは何とも言えない気持ちにさせてくれます。

ミックは大声でがなり立てる歌も囁くような歌声も、自分である程度の範囲にデジベルを収める能力があると、有名シンガーがインタビューで語っていました。この曲もレンジが広いので「ミキサー不要能力」を発揮していたんでしょうね。さすがです。

8位 You Can’t Always Get What You Want

名曲パラメーター
音楽誌の評価
77
人気度
58
個人的な評価
83
名曲度
73
クール度
80

アルバム“Let It Bleed”でトリを飾るこの曲は、1969年に“Honky Tonk Woman”のB面としてリリースされました。シングルでは短縮されましたが、アルバムに収められたこの曲は7分半に及ぶ大作です。

この曲も音楽誌の評価が高く、RS誌の「ストーンズのベスト100」では5位、「最も偉大な500曲」で101位、同誌のファンが選んだ「ストーンズの偉大な曲」では8位、NME誌の「史上最高の曲500」で297位にそれぞれ選ばれ、ベスト盤でも常連です。

個人的にこの曲は好きですが、敢えて辛めの評価にしました。それでも8位に落ち着いたことに満足しています。

曲の内容

ロンドン・バッハ合唱団の賛美歌のような歌声で始まり、部屋鳴りを排除した生々しいアコギとアル・クーパーのフレンチホルンがミックのボーカルを誘い出します。

キースのアコギとミックの歌、マラカスで曲が始まり、最初のサビが終わるとアル・クーパーのオルガンとピアノ、ビルのベース、そしてジミー・ミラーのドラムが動き始めます。

サビのバック・コーラスはマドリーヌ・ベル、ドリス・トロイ、ナネット・ニューマンで、ロンドン・バッハ合唱団とは違った華やかさと余裕が感じられます。

ピアノは音数を抑えてバッキングに徹しながらも要所で曲に色を添え、キースも小粋で細やかなフレーズを使ってミックのボーカルに絡みます。

間奏は楽器演奏ではなく、ロンドン・バッハ合唱団の分厚いコーラス、それがエンディングに向かうとコーラスは高い和音を次々と重ね、終盤のオルガンのグリッサンドを合図にドラムが一段と激しくなりテンポ・アップ、ひと味違うロックに仕上がりました。

合唱団とロック

この曲のレコーディングに参加したストーンズ・メンバーはミック、キース、ビルのみで、チャーリーとブライアン、ミック・テイラーは参加していません。

しかしロンドン・バッハ合唱団を始め、マドリーヌ・ベル達のコーラス陣、大活躍のアル・クーパーなど、参加したミュージシャンの数だけで言えばストーンズのレコーディングで最大級となりました。

ロックのレコーディングに本格的な合唱団が参加することは、史上初の試みだったのではないでしょうか?

9位 Brown Sugar

名曲パラメーター
音楽誌の評価
62
人気度
65
個人的な評価
90
名曲度
72
盛り上がり度
90

1971年5月に“Sticky Fingers”からシングル・カットされたこの曲は、アメリカで1位、イギリスでも2位の大ヒットとなりました。

RS誌の「ストーンズのベスト100」で8位、同誌の「グレイテスト・ギター・ソング100」では5位に選ばれ、コンサートやベスト盤に欠かせない名曲です。

「ストーンズと言えばこの曲」と言いたくなるぐらい、個人的にこの曲に対する評価は高く、人気もあると思っていたので9位に止まったことには驚きです。それだけストーンズには名曲が多いということなんでしょう。

曲の内容

ショート・ディレイで左右にパンしたリフで始まるこの曲からは、アメリカ市場を意識したような雰囲気を強く感じます。

キース独特のオープンGの5弦ギターで、裏拍を捕まえながらシンコペーションを織り交ぜたこの曲のリフは「これぞストーンズ」と言えるでしょう。

チャーリーは、リズムを刻むキースの足を見てドラムを叩いていたと語ったことがありますが、それを裏付けるようにラフに絡み合うギターがバンドを引っ張っています。

この曲ではアコギを含めて3本のギターが使われていますが、全てキースによるもので、ミック・テイラーとビル・ワイマンはレコーディングに参加していなかったようです。

ピアノはストーンズの準メンバーと言えるイアン・スチュアート、間奏ではデラニー&ボニー&フレンズのボビー・キーズが挑発的なサックスを聞かせてくれます。

危なっかしい歌詞

歌詞の内容は、かつて米国南部で行われていた奴隷売買がメインで、タイトルは薬物の隠語、更にセクシュアルなダブル・ミーニングまで含めています。

デッカ・レコードから離れて、自分達のレコード・レーベルからのリリースだったので、やりたい放題だったのかもしれません。放送禁止にならなかったのが不思議なぐらいです。

コンサートで演奏されると、エンディングの“I said yeah, yeah, yeah,wooh!”ではファンも一体になって大盛り上がり。セット・リストからは絶対に外せない名曲です。

10位 Honky Tonk Woman

名曲パラメーター
音楽誌の評価
66
人気度
60
個人的な評価
73
名曲度
66
シラフでも酔える度
80

1969年7月にリリースされたこの曲は、後のストーンズのサウンドの行方を物語っています。

英米でNo.1を獲得し、音楽誌の評価も高く、RS誌の「ストーンズのベスト100」では11位、「最も偉大な500曲」で116位、ベスト盤には外せない名曲です。

個人的な評価も高めなので、ベスト10に入って納得です。

曲の内容

オープンGチューニングのギター・リフは開放弦がメインの省エネフレーズ。音を出すだけなら簡単ですが、この曲のノリはキースでなければなかなか出せません。キースだったら100歳になっても弾けるでしょう。

サビ以外はキースのギター、チャーリーのドラム、ミックのボーカルとカウベルのみという削りに削ったサウンド作りはお見事です。このシンプルなアンサンブルの中でキースはフィンガー・ピッキングによるオブリガートを披露、これがライ・クーダーに「盗まれた」とクレームを付けられたフレーズなんでしょうか?

この曲がシングルのレコーディング初参加となるミック・テイラーは、サビでチョーキングを多用した伸びやかな音を奏で、間奏ではブラスをバックに、タメを効かせたキースのリフに、ブルース・ギターのお手本のようなフレーズで掛け合っています。

ミック・テイラーのチャンネルには、ブライアンのギターとイアン・スチュアートもピアノも重ねられているので、細かい部分は聞き取り難いですが、肩肘張らずに演奏を楽しんでいるように感じます。

悔しがる名ギタリスト

この頃は、ブライアンの後任となる新しいメンバーを探していましたが、ストーンズ側の希望は「名が通ってなくて、手が空いているヤツ」だったそうです。

候補の中には

の名前が挙がっていました。

しかし、この3人には既に独自のオーディエンスがいたので候補から外され、当時若手で最も腕が立つミック・テイラーが選ばれたと言われています。

ちなみに、候補から外されたエリックは「なんで僕じゃないわけ?なんで?」と数年間ゴネまくったらしく、キースは「そりゃあ、悪かったよぉ」と言ってあげたそうです。

11位 Street Fighting Man

名曲パラメーター
音楽誌の評価
67
人気度
59
個人的な評価
72
名曲度
66
クール度
70

1968年にアルバム“Beggars banquet”に先がけてアメリカでリリースされたこの曲は、同国で30位、1971年にリリースされたイギリスでは21位と他のシングルに比べるとチャート・アクションは地味でした。

RS誌の「ストーンズのベスト100」では4位、同誌の「最も偉大な500曲」で301位に選ばれていることから、どちらかと言えば玄人受けする曲かもしれません。

しかし、コンサートのセット・リストの常連で、結成40周年を記念して発売されたベスト盤”Forty Licks“では1曲目を飾っており、名曲であることは間違いありません。

曲の内容

声を張り上げて畳みかけるようなミックの歌には、ロンドンにあるアメリカ大使館の目の前で行われたデモに自身が参加した経験が反映されていると言われています。自国の政府に不満を持つ若者達を扇動しかねない歌詞の内容から、放送禁止になってしまうのも無理ないですね。

オープンEチューニングによる荒々しいギター・サウンドは、“Jumpin’ Jack Flash”と同様にアコギをカセット・レコーダーに録ったものをベーシック・トラックとして使っているそうです。

これだけ金属的なサウンドが全てアコギということは驚きで、特にイントロが始まって6小節目に鳴らされる2本目のギターの音は、まるで鐘を叩いているようにも聞こえます。

この曲には前作“Their Satanic Majesties Request”のサイケデリック・サウンドの要素も残っています。ブライアンがインド楽器のタンブーラを弾き、その当時にトラフィックに在籍していたデイヴメイソンがインドの笛シェヘナーイーを演奏しています。

ブルースやカントリー調の曲が多い名作“Beggars banquet”の中で、こうしたアレンジが非常に効いています。

12位 Get Off of My Cloud

名曲パラメーター
音楽誌の評価
54
人気度
60
個人的な評価
78
名曲度
64
盛り上がり度
70

1965年に“Satisfaction”に引き続いてリリースされたこの曲は英米で1位を獲得、RS誌の「ストーンズのベスト100」では12位、もちろんベスト盤の常連です。このランキングでは初期に分類される曲ですが個人的な評価は高く、サビの“Hey – Hey, You – You”ではついつい掛声を入れてしまいます。

ボブ・ディランの影響

畳みかけるようなミックのボーカルはボブ・ディランの影響だと言われています。

ビートルズのジョン・レノンも同じように影響を受けた曲を書いているので、改めてボブ。ディランの凄さを実感してしまいます。

“And I sit at home looking out the window. Imagining the world has stopped(俺は座って窓の外を見ながら、世界が止まったことを想像する)“って韻も踏まないのに、見事な早口とリズム感で2小節に収めています。”I~ can’t ~get~ no~“とのんびり歌うあの曲とは大違いです。もちろんあの曲も名曲ですけどね。

目立たないリード・ギター

チャーリーの激しいドラムから始まるこの曲は、ミックのボーカルもカッコよく、全体的に質の良いロックに仕上がっています。

しかし、ブライアンのリード・ギターに強めにエコーが掛けられ、遠くでなっている感じがします。それに対してキースのリズム・ギターははっきり聞こえる不思議なアレンジ。

アンドリューによるキース贔屓が露骨に表れてしまったようです。

13位 The Last Time

名曲パラメーター
音楽誌の評価
51
人気度
64
個人的な評価
75
名曲度
63
クール度
70

彼等にとって6枚目のシングルとして1965年2月にリリースされたこの曲は、イギリスで1位、アメリカでも9位となりました。RS誌の「ストーンズのベスト100」では23位に選ばれ、ベスト盤にも収録されています。

個人的には“Get Off of My Cloud”と同様に初期の曲の中ではこの曲を高く評価しているので、こちらのランキングでも13位に入りました。

クールな名曲

イントロから鳴り続けるブライアンのギター・リフの印象が強いせいか、この曲はクールに感じます。

ミックのボーカルもエンディングでエモーショナルになるだけで曲中は抑えた歌唱、そのおかげでキースとのハモりが抜群にカッコいいです。

キースはコーラス以外にもバッキングをアコギで弾き、コードワークにチョーキングを織り交ぜたギター・ソロも担当する活躍。

マネージャー兼プロデューサーのアンドリュー・オールドマンがミックとキースをメインに売り出す方針だったそうで、結果的にその方針で正解だったようです。

でもブライアンやチャーリー、ビル達はそれでも良かったんでしょうかね?

なお、この曲のベースになったのは、ザ・バンドの映画「ラスト・ワルツ」に出演していたステイプル・シンガーズの”This Maybe the Last Time”だったそうです。

キースはこの曲について、作曲をするようになって初めて満足できた曲だと、後のインタビューで語っています。

14位 Angie

名曲パラメーター
音楽誌の評価
45
人気度
77
個人的な評価
68
名曲度
63
切なさ
90

アルバム“Goats Head Soup”の先行シングルとして1973年8月にリリースされ、アメリカで1位、イギリスでは5位につけ、RS誌のファンが選んだ「ストーンズの偉大な曲」では10位となっています。

ストーンズの名バラードですが、感傷的過ぎてストーンズらしさが感じられないため個人的な評価は低いです。

この曲と“Time Waits for No One”は少し苦手です。

“Angie”って誰?

アコースティック・ギターの哀愁漂うアルペジオから始まるこの曲は、ミックのボーカルもいつもと雰囲気が違うような気がします。ニッキー・ホプキンスのピアノも曲を華やかにして、ビルもチャーリーも抑えた演奏でこの曲をしっかり支えています。

しかし、ニッキー・ハリソンという人がアレンジしたストリングスがわざとらしい!これさえなければ順位は上がるのに…

タイトルの“Angie”とは、デビット・ボウイの奥さんという説があってリリース当時は大騒ぎになったそうです。

後日、キースの娘さんの名前がアンジェラということでタイトルが決まったと言われていますが、“Angie, I still love you. Remember all those nights we cried?(アンジー、君をまだ愛してる。二人で泣いた夜を覚えてる?)”って歌う曲のタイトルに自分の娘の名前を付けますかね?キースさん。

15位 Ruby Tuesday

名曲パラメーター
音楽誌の評価
59
人気度
60
個人的な評価
68
名曲度
62
切なさ
70

この曲は“Let’s Spend the Night Together”と両A面シングルとして1967年にリリースされ、アメリカで1位、イギリスでも3位の大ヒットとなりました。

RS誌の「ストーンズのベスト100」で19位、同誌の「最も偉大な500曲」で310位、コンサートのセット・リストに名を連ね、ベスト盤にも収録されるこの曲には根強い人気があります。

曲の内容

初期のストーンズにとって屈指のメロディのこの曲は、キースが自身の破局を元に単独で書いた曲だと言われています。

“Who could hang a name on you. When you change with every new day(日ごとに変わっていく君に、誰が君の名を付けられるんだい?)”との歌詞は意味深で、キースが付き合っていた女性を想像してしまいます。

その一方でこの曲のタイトルは、ミックとも関係があったグルーピーの「ズレてるリーボヴィッツ」の変名とする説もあり、この曲の制作過程には複雑ないきさつがありそうです。

サイケデリックな雰囲気を出しているピアノとリコーダーはブライアンによるもので、彼の多才ぶりがよくわかります。また、チェロはキースとビルの二人が力ずくで演奏しているとのことで、想像すると微笑ましいです。

切ない歌詞の内容と繊細な曲調は、ストーンズのファンでなくても聞き入ってしまうのではないでしょうか?

16位 Undercover of the Night

名曲パラメーター
音楽誌の評価
47
人気度
59
個人的な評価
80
名曲度
62
クール度
80

この曲は、こちらのランキングに入った曲の中では最も新しい時期に作られた曲で、ストーンズらしくないストーンズ・サウンドとでも言ったらいいでしょうか。

1983年11月にリリースされ、アメリカでは9位、イギリスでは11位、RS誌の「ストーンズのベスト100」では64位、70年代前半の曲に比べると評価も高くなく、チャート上位に入りながら人気も今一つのようです。

しかし、個人的な評価は高めで、ベスト盤の収録状況やコンサートでの演奏頻度も高いことから、こちらのランキングでは16位に選びました。

曲の内容

ウイリアム・バロウズの小節“シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト”に影響を受け、南米の政治不安とテロリズムを歌った歌詞で、この曲のイメージに合った過激な描写のプロモーション・ビデオが一部で放送禁止になりました。

大金をつぎ込んで大掛かりな撮影だったはずなのに、あっさり放送禁止になってしまうストーンズらしいエピソードは、80年代になっても尽きることはありません。

チャーリーは1小節をハイハットで16に刻むドラミング、それにスライ・ダンバーによる電子ドラムとパーカッションを加えてダンサンブルに仕上げています。

ブレイクのギターには当時流行していたディレイ処理を大胆に施し、ミックのボーカルでもディレイ・タイムを操作して派手な音作りをしています。

不仲でも名曲

プロデュースは長年エンジニアを努めて来たクリス・キムジーとグリマー・ツインズ(ミックとキース)ですが、この頃のミックとキースの不仲は深刻だったようです。

数年に1回ぐらいストーンズ解散説が囁かれていましたが、そんな噂を跳ね返して未だにグループを存続させていることも凄いです。

17位 Start Me Up

名曲パラメーター
音楽誌の評価
53
人気度
61
個人的な評価
71
名曲度
62
盛り上がり度
70

アルバム“Tattoo You”の先行シングルとして1981年8月にリリースされたこの曲は、アメリカで2位、イギリスで7位の大ヒットとなりました。

音楽誌の評価も高く、ベスト盤に必須、コンサートで演奏されることも多い名曲で、ミック自身も80年代のストーンズを代表する曲だと語っています。

シンプルな80年代サウンド

ギターに薄く掛けたモジュレーション系のエフェクトとショート・ディレイ、ドラムに掛かるリバーブが80年代を感じさせてくれます。

ピアノやブラス等は使われず、曲の大半はミックのボーカルにギター2本が絡み合うシンプルな構成ですが、1975年からサポート・ギタリストとなったロン・ウッドと5弦ギターを奏でるキースとの掛け合いはファンにとって最高のご馳走です。

元々この曲は、1978年にリリースされた“Some Girls”のレコーディングの際に出来上がっていましたが、当初はレゲエ風のアレンジだったとか。その後、アレンジが現在のものに変わったことから、シンプルなアンサンブルになったと言われています。

2016年の米大統領選挙の遊説で、トランプがこの曲を勝手に使ったことも記憶に新しいです。

18位 Can’t You Hear Me Knocking

名曲パラメーター
音楽誌の評価
57
人気度
50
個人的な評価
78
名曲度
62
シラフでも酔える
80

アルバム“Sticky Fingers”に収録されたこの曲は、ベスト盤に収録されることはありませんでしたが、RS誌の「ストーンズのベスト100」で17位、同誌のファンが選んだ「ストーンズの偉大な曲」で7位に選ばれています。

音楽誌の評価が高くファンからも支持され、個人的な評価も高いことからこちらのランキングで18位になりました。

新しいサウンド

歌詞の内容やミックのボーカルには緊張感があり、イントロからエンディングまでのアレンジも考え抜かれています。しかし、リラックスしたジャム・セッションにように全員が伸び伸びと演奏しているように感じます。

オープンGのチューニングによるギター・リフは高音域を活かしながら歪ませ、曲の前半をカッコよく飾り、ミックのボーカルも全編を通じていつになくエモーショナルです。

ブレイクを挟んでラテンっぽいパーカッションがリズムを叩き始めると曲調は一転、ボビー・キーズの艶のあるサックスが少しずつ曲を盛り上げていきます。

その後のミック・テイラーのギター・ソロは、コンテンポラリー・ミュージックのようなフレーズで、エコーの効き具合も時代を感じさせて良い雰囲気。

それまでのストーンズには無かったサウンドですが、彼等が様々なジャンルの音楽を吸収してきたことが伝わります。何よりもこの曲の独特なグルーブ感はストーンズでなければ作れないでしょう。

19位 It’s Only Rock n Roll ‘(But I Like It)

名曲パラメーター
音楽誌の評価
47
人気度
59
個人的な評価
78
名曲度
61
シラフで酔える
70

この曲は、アルバム“It’s Only Rock’n Roll”の先行シングルとして1974年7月にリリースされ、イギリスで10位、アメリカで16位となりました。

チャート・アクションは地味ながら、RS誌が発表した「ストーンズのベスト100」で40位、コンサートのセット・リストやベスト盤の収録曲に選ばれています。

ストーンズの生き様を表しているような名文句をタイトルとしたこの曲が19位になっていることが不思議。もっと上位でもいいのに。

口論から生まれた名曲

この曲の制作には後にメンバーとなるロン・ウッドが大きく貢献しています。

ミックが近くに住むロンの家を訪れて一緒にセッションを行い、ロンにインスパイアされてこの曲の原型が出来上がったと言われています。

タイトルはミックとフェイセスのドラマーだったケニー・ジョーンズとの口論から生まれ、ミックがそのフレーズを元にベーシック・トラックを完成させ、後にキースやイアン・スチュアートの演奏をオーバー・ダビングしました。

演奏はロンが12弦ギター、ウィリー・ウイークスがベース、ケニーがドラムをそれぞれ担当、バック・ボーカルにデビット・ボウイが参加したとの噂もあるそうです。

チャーリー、ビルはレコーディングに不参加、この年に脱退することになるミック・テイラーも、体調を崩していたため参加していません。

なお、1968年からストーンズの名作を手掛けてきたジミー・リードが、アルバムのレコーディング途中でプロデューサーを降板、代わってグリマー・ツインズ(ミックとキース)がプロデューサーとしてクレジットされています。

20位 Midnight Rambler

名曲パラメーター
音楽誌の評価
58
人気度
30
個人的な評価
93
名曲度
60
クール度
90

アルバム“Let It Bleed”に収録されたこの曲は、RS誌の「ストーンズのベスト100」で13位に選ばれ、コンサートで演奏される機会が多い曲です。

この曲に対する個人的な評価が最も高く、こちらのランキングでは20位に入りました。正直、この曲に対する評価や人気がイマイチなのか不思議です。

曲の内容

太い音のギター・サウンドと全体的に深く効かせたリバーブ、そして目まぐるしく変わるリズムがこの曲の肝です。

典型的なブルース・ロックのリフから始まり、音数の少ないスライド・ギターとミックのブルース・ハープが緊張感を高め、テンポも少しずつ速くなります。

2回目のサビが終わるとギターは裏拍を強調し、ドラムはスネアを巧みに使ってシャッフルから8ビートに移り変わりますが、この瞬間が最もスリリング!この頃にはミックのハープも一段と激しさを増し、“Don’t you do that”が延々と繰り返されます。

やがてリズムが止むとギターとハープだけの静かなパートが訪れ、ミックが「自白」を語り始めます。ブライアンのコンゴのタイミングが間隔を狭めると他の楽器も8/12拍子で演奏を再開、徐々にオープニングと同じリズムに戻りますがミックのボーカルは叫び声に近くなり、チャーリーもトップ・シンバルとタムのオカズを大量に放り込み続け、6分53秒の曲は終わります。

純度100%のストーンズ

ボストン絞殺魔事件の犯人がこの曲のヒントになっていて、歌詞の内容も非常にスリリング、次々と変わるリズムに怖いぐらいピッタリとはまっています。

なお、この曲がブライアンにとって最後のレコーディングでした。彼が任されたパートは重要ではありませんでしたが、ゲスト・ミュージシャンを入れずに完成したこの曲は純度100%のストーンズ・サウンドで、ゾクゾクする素晴らしい作品です。

ローリングストーンズの隠れた名曲5選

一目でわかるローリングストーンズの隠れた名曲5選

  • 1位 Sweet Virginia
  • 2位 Live With Me
  • 3位 Rip This Joint
  • 4位 Love in Vain
  • 5位 As Tears Go By

1位 Sweet Virginia

隠れた名曲パラメーター
ダラダラ度
78
和やか度
82
個人的な評価
85
隠れた名曲度
82
シラフで酔える
80

アルバム“Exile on Main St.”に収録されたこの曲は、シングル・カットされず、ベスト盤に収録されることもありませんが、RS誌の「ストーンズのベスト100」で35位に選ばれています。個人的な評価が高く、ストーンズの隠れた名曲の1位としておすすめします。

曲の内容

“Exile on Main St.”の収録曲に散見される良い意味のユルさがこの曲では爆発しています。

ミックは寝そべって歌っているのではないかと疑いたくなるほど、ダルさ全開のボーカル、ハーモニカもシンプルなメロディを奏でるだけで、“Midnight Rambler”と同一人物による演奏とは思えません。

そんなハーモニカのメロディを優しい音色のトレモロで支えるギター。ライ・クーダーの影響があったのか、この曲のキースのギターは戦前のブルース・ギタリストであるブラインド・ブレイクを思わせ、滑らかなフィンガリングで素晴らしいフレーズを弾いています。

中盤から入るハンド・クラップとスモーキーなサックスが良い雰囲気、イアン・スチュアートのピアノもこの曲にピッタリのオブリガートを弾いてくれています。

そして“Tumbling Dice”のバック・コーラスを更にリラックスさせたような後半の大合唱は聞いているだけで幸せ。

やっぱりストーンズ

この曲の歌詞は、甘くて苦いカリフォルニア産のワインを抱きかかえた歌なのか、可愛いヴァージニアの女性を歌ったものなのか、はっきりわかりませんが、言葉数を少なくしてのどかでのんびりした曲調に合っています。

もちろん“And I hid the speed inside my shoe(靴の中にスピードを隠した)”と“Got to scrape the shit right off you shoes(靴に付けた○○を落としてやるから)”ってフレーズを入れて、ストーンズらしさをアピールすることも忘れていません。

2位 Live With Me

隠れた名曲パラメーター
危うい歌詞
80
鋭さ
77
個人的な評価
87
隠れた名曲度
81
クール度
70

この曲は、RS誌の「ストーンズのベスト100」では58位に止まり、ストーンズの曲の中ではあまり目立っていないようです。

しかし、収録されている“Let It Bleed”の中ではアップ・テンポな曲であり、コンサートでも演奏される機会が少なくありません。

シンプルなアンサンブルながらそれぞれが最高の演奏しているこの曲は、個人的に評価が高く、隠れた名曲としておすすめします。

曲の内容

キースが弾くベースのイントロから始まり、奥に広がるスネアのリバーブがたまらないこの曲は、ニッキー・ホプキンス(もしくはレオン・ラッセル?)のブルー・ノートを多用したピアノ、リズムの裏から引っ掛けるギターのカッティングだけでも十分満足。

しかしボビー・キーズのサックス・ソロが更に追い打ちをかけてくれるので、お腹いっぱいになります。

“Let It Bleed”のレコーディングでミック・テイラーが参加した2曲にこの曲が入りますが、この曲ではキースもギターを弾いているので、どちらが彼のプレイかわかりません。”Honky Tonk Woman“のように音とプレイ・スタイルに違いがあれば判別できるんですが…

クレジット欄を黒く塗れ!

この曲のタイトルは”一緒に暮らそう“ですが、もちろんラブ・ソングなどの生ぬるいものではなく、歌詞の内容はストーンズらしく極めて下品です。良識派の方なら眉間のシワが幾重にも重なることでしょう。

“You Can’t Always Get What You Want”で素晴らしいコーラスを聴かせてくれたロンドン・バッハ合唱団はこの曲の歌詞に「恐れ」て、クレジットの削除を求めたそうですが、その気持ちもわかります。

削除要求が後に撤回されるまで、アルバムのクレジット欄は黒塗りされたと言われています。

3位 Rip This Joint

隠れた名曲パラメーター
激しさ
82
疾走感
78
個人的な評価
80
隠れた名曲度
80
盛り上がり度
90

この曲も“Exile on Main St.”の収録曲。ブルースやゆったりとした曲が多いこのアルバムでは最速でご機嫌なブギ・ナンバー。

RS誌の「ストーンズのベスト100」で50位に選ばれ、個人的評価も高めにしていることから隠れた名曲としてご紹介します。

疲れ知らずのロックンロール

派手なブラス・サウンドと勢いがある曲調の”Rocks Off“で幕を開けたこのアルバムは、次に収録されたこの曲でも休ませてくれません。

しっかりと跳ねるキースのギター・リフで始まるこの曲では、歌い出しから絶叫に近いミックのボーカルが聴けます。

ビル・ブラマーがアップライト・ベースを演奏、ニッキー・ホプキンスのピアノも縦横無尽に暴れまわってロカビリー感を演出しています。

そしてこの曲で忘れてならないのがボビー・キーズのサックス!聴く者を煽りまくるフレーズを勿体ぶらずに連発されると、この曲を聴くためだけにこのアルバムを買ってもいいと思わせます。さすがのミック・テイラーもこれにはお手上げだったのか、僅かにスライドを弾く程度。しかし短いフレーズながら音選びのセンスは抜群です。

激しいミックのボーカルに上からハモるキースのコーラスも負けていません。レコーディング後は二人ともグッタリだったのではないでしょうか。アルバムの仮タイトル“熱帯病”に偽りはありません。

ちなみにミックはキーが高くて速いこの曲がお好みではなかったとか。

4位 Love in Vain

隠れた名曲パラメーター
アレンジ
75
寂しさ
78
個人的な評価
85
隠れた名曲度
79
切なさ
80

この曲も“Let It Bleed”の収録曲です。アルバムで唯一のカバー曲で、原曲を作ったのはブルースの神様、ロバート・ジョンソン。

アコースティック・ギターのアルペジオと遠くで鳴っているようなスライドが美しい作品ですが、ストーンズの曲の中では少々地味な印象もあります。

しかし、スライド・ギターを大胆にあしらって原曲通りにカバーするのではなく、洗練されたアレンジで生まれ変わったこの曲は、隠れた名曲と呼ぶに相応しい作品です。

効果的なEm

原曲は3コードだと思いますが、ストーンズのアレンジではEmを使っています。

マイナー・コードをアコギで鮮やかにすることで、更にもの悲しさが加わりました。

歌が始まる直前のギターのフレーズは「これもライ・クーダーからパクったか?」と疑いたくなりますけど。

ミックはロバート・ジョンソンを意識しながらまったりと伸びやかに歌い、間奏のライ・クーダーのマンドリンも絶品、チャーリーのドラムは、この歌の主人公の気持ちを表すように重く、最後の12小節ではブラシを使って音を抑えています。

後にストーンズが生み出す名曲の要素をギュッと詰め込んだこの曲は、間違いなく隠れた名曲と言えるでしょう。

なお、ミックによると、ロバート・ジョンソンの曲をカバーに選んだ理由は、マリアンヌ・フェイスフルから提案があったためだと語っています。

5位 As Tears Go By

隠れた名曲パラメーター
寂しさ
84
しっとり感
73
個人的な評価
63
隠れた名曲度
73
切なさ
70

この曲は1965年12月にアメリカでリリースされ3位、翌年にはイギリスで“19th Nervous Breakdown”とのカップリングでリリースされました。

RS誌の「ストーンズのベスト100」では28位に選ばれ、デビュー50周年を記念して発売された“GRRR!”などのベスト盤にも収録されています。

ヒットした「最低の曲」

ミックのボーカルとキースの12弦のアコギによるバラードに弦楽四重奏を加えたアレンジは、この曲が出来る数カ月前にビートルズがリリースした“Yesterday”に似ています。

しかし、ミックとキースが初めて書いた曲であるにも関わらず、メロディがしっかりしていて切ない歌詞も素晴らしく、“Yesterday”とは別の良さがあります。

元々作曲する気がなかったミックとキースは、マネージャーのアンドリューから「ビートルズのように自給自足で曲をつくってみたら」と促されて始めました。

そして台所に一晩缶詰にされて、翌朝には“As Tears Go By”が出来上がったそうですが、彼等にしてみたら「最低な曲」だったとか。

そんな「最低な曲」をマリアンヌ・フェイスフルに譲ったところヒットし、それが励みとなったのでもう少し作曲を続けてみようと思ったそうです。

アンドリューに作曲を強制されていなければ、ストーンズは延々カバー曲を演奏し続けていたとキースが語っています。結果的にアンドリューはストーンズに対して最大の貢献をしたことになりました。

しっとりと歌い上げるミックのボーカルが素晴らしく、名曲であることに間違いありませんが、音数が多くて出しゃばり過ぎているストリングスが余計です。2008年に公開されたストーンズのドキュメンタリー映画“Shine a Light”で演奏されたように、シンプルなアレンジの方がしっくりきます。

ローリング・ストーンズの名曲名盤まとめ

いかがでしたでしょうか?

それぞれの時代によって曲調や雰囲気が違うのでランキングには悩みましたが、どの曲もストーンズが演奏した名曲であることは確かです。

ローリング・ストーンズがこれまで発表した作品を改めて聴くきっかけになれば嬉しいです。

ローリングストーンズの名曲名盤ランキング!代表曲や有名曲まとめ

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