この記事ではエレハモのSmall Stoneのレビューと使い方を蚊施設しています。Small StoneNanoとの違いは何でしょうか。
特徴的なColorスイッチの特徴まで詳しくレビューしていきます。
エレハモ/Small Stoneの種類と違い
Small Stoneとは?
Electro Harmonixの創設から間もなくして発表された「Small Stone」は「エレハモの歴史そのもの」と言っても過言ではありません。モジュレーション系エフェクターの元祖である「フェイズシフター」は様々なジャンルのミュージシャンに愛され、現在でも効果的に楽曲の中に盛り込まれています。Small Stoneは「RATE」のツマミ一つと「COLOR」なる二段階切り替えのスイッチのみのシンプル設計ながら、絶妙なうねりを生み出し様々な楽曲を彩ってきました。同時期に発売された「MXR Phase90」と似ている効果や使用から常に比較対象されてきながらも、二台とも世界のスタンダードとして君臨して続けています。
Nano Small Stoneとは?
エレハモの「Nanoシリーズ」はエフェクトの効果や内容はそのままにサイズのコンパクト化を図るというシリーズです。最近では、競うようにエフェクター・メーカー各社「コンパクトエフェクターのコンパクト化」を実装しています。エレハモもブームに乗ってるようですが、元々必要より大きな筐体を使用していたエレハモはサイズ的には「普通になった」だけですね。様々なジャンルが一曲の中に混在する現代の音楽は、沢山の音色や場面場面に応じての音色変更がライブ演奏中に要求されます。スイッチャーを導入することで演奏は可能にはなりますが、持ち運びに不適切な重量となってしまい、ギタリスト達は機材の軽量化に余念がないのです。音の方はオフィシャルですと「変わらない」となっていますので、これから購入を考えている方はNanoの方が実用的でしょう。
Small Stoneの違いのまとめ
「違いはサイズだけ」と言いたいところですが、実は音が違うように思います。コンパクト化のために回路部分の変更があったのかも知れません。違いは微々たる感じですが、Nanoの方が少し音がマイルドのように思えます。Small Stoneはエレハモのラインナップの中では大きいサイズではありませんが、他のメーカーのエフェクターと比べますと大きいです。その大きさがエレハモらしく、足元での存在感、デザイン、ネーミングが「音とは別」の高揚感を与えてくれていたのも事実ですが、現代のコンパクト化の波の中では必要のない物になっているのかも知れません。
おすすめポイント
- エフェクターの調整が簡単!
- MXR Phase90では満足できなかった
- メインの歪みはファズだ!
- コンプ感が強い
- オクターブ奏法にも
Small Stoneの音質や特徴
特徴1 コントロール部
■ RATE
揺れのスピードを調整できます。
■ COLOR
音色を二段階切り替えのスイッチで切り替えられます。
特徴2 COLORの使用法
COLORはスイッチで上下に切り替え可能ですが、モードの名称はついていません。簡単に効果の違いを申しますと「上段で過激にかかる」と「下段でゆるく揺れる」です。上段では歪みと絡ませ激しく飛び道具的に、下段はクリーン・サウンドでアルペジオになどがよくある使い方です。
特徴3 よく効くRATE
初見の方はツマミ一つのコントロール部に、いささか不安を抱いてしまうでしょうが心配ご無用です。デフォルトのトーンに身をゆだねるようにコントロールしていけば「ビンテージ・フェイザー」のサウンドが手に入ります。マックスにするとCOLORは上下どちらでも、音が破綻したようになりアイデア次第では曲のインパクトに使えそうです。
特徴4 ロシア製「Small Stone」の存在
Electro Harmonixは一度1984年に財政難で経営破綻しています。1990年の中頃に再スタートした時には、生産国がロシアに移行しています。もちろん回路はオーナーの「デイヴ・マシューズ」の監修の元の物ですが「ロシア期」には大幅に筐体のデザインが違います。しかも同じエフェクターでも違うデザインが何種類か存在しています。そもそも、大きな筐体のエレハモのエフェクターがロシアン・モデルでは色が「アーミー・グリーン」で大型の物があります。他の物も基本的に「無骨」なイメージでミリタリーっぽい物が多いですね。
Small Stoneのデメリット
デメリット1 オフにしてもフェイズ・ノイズが出ている
特に古いモデルなどで起きる現象ですが、オフにしても「しゅわしゅわ」とフェイズシフターがかかっているようなノイズが出ています。新しいNanoですと歪ませた状態のままでギター側のボリュームを絞った時に出るぐらいで、歪みのエフェクトかNanoをオフにすれば解消いたします。アンプの音量や歪みの量にもよりますが、ブレイクなどがある曲ですと少し気になるかも知れません。
Small Stoneの使い方や音作りのコツ
使い方1 ツインギターでのアンサンブルの一例
歪んでる音にも埋もれずに抜けてくる特性を活かし、バンドにもう一人ギターがいる場合は歪んだ音でダウンピッキングのバッキングをしていただいて、その裏で少な目の音数でアルペジオを弾くアンサンブルなんて良さそうです。セッティングはCOLORは上段でツマミは9時ぐらいの薄目が良いですね。
使い方2 ファンクやレゲエのカッティング
フェイザーの揺れは高音弦によく反応するので、ファンクやレゲエのカッティングにはよく使われています。小節の頭に六弦まとめて「ジャーン」と弾く場合はPhase90の方が迫力があって良さそうですが、カッティングにはコンプ感の強いSmall Stoneの方がまとまりが良いです。
使い方3 オクターブ奏法
ソロの導入部分や締めに使うと効果的な「オクターブ奏法」にもフェイズ・サウンドが合います。メロディのように激しく弾くフレーズでしたら無くても良さそうですが、ミディアム・テンポの単調になりがちなフレーズでしたら「サウンドの色付け」に持って来いです。
Small Stoneと似ている同価格帯の機材と比較
MXR Phase90との比較
ビンテージ・フェイズ・サウンド代表の片割れ「MXR Phase90」と比べても、世界的に人気は同等ぐらいではないでしょうか。Phase90はスタンダードなプレイをする人に好まれ、少し変わった音楽傾向のジャンルの方々はSmall Stoneを選んでいるように思えます。中域の持ち上がるPhase90に対してSmall Stoneは高域がクッキリしているので、ファズなどの音がこもりやすいエフェクターの相性がよいです。90年代の「オルタナティブ・ロック」のミュージシャン達はエレハモのエフェクターを好んで使っていましたが、ファズや強力に歪むディストーションにも埋もれない特性が好まれていたのでしょう。他にPhase90はデメリットとして「オンにすると音量が上がる」がありますが、Small StoneにはありませんのでPhase90のデメリットが気になる方はSmall Stoneをお勧めします。

Small Stoneを使った感想
一時期ビンテージのSmall Stoneを所有していたのですが「音が違う」というよりは、良い意味の劣化のようなものを感じていました。音楽的に言えば「音が枯れている」です。現行の物とICが違うようでスルー時のノイズなどには苦労しましたが、効果は「バリッ」としたエレハモらしいエグさ全開の音でした。素晴らしいビンテージの音でしたが、現代では実用的な音ではないような気がして持ち出すことはなかった記憶があります。回路が変われば音が変わるのは当たり前ですが、現行のSmall Stone Nanoは使いやすいサイズ感もさることながら、音も良いところを引き継いでくれている現代的なエフェクターだと思いました。
Small Stoneのはこんな人におすすめ
■ エフェクターの調整が苦手である。
■ MXR Phase90を買ってみたけど満足いくものではなかった。
■ メインの歪みはファズだ。
デジタル・エフェクターには絶対に出ないSmall Stoneのフェイズ・サウンドは、少し不安定にも感じてしまう人間味あふれる馴染みある揺れです。王道や定番などと言われると敬遠してしまう「ひねくれ者」も多いギタリスト達ですが、モジュレーション系が好きならばSmall Stoneを一度は経験するべきではないでしょうか。
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