FULLTONE/OBSESSIVE COMPULSIVE DRIVE(OCD)とは?
1991年にマイク・フラー氏によって創設されたエフェクターブランド、Fulltoneが開発したオーバードライブ、ディストーションペダルです。
その音や使い勝手の良さが評判を呼び、この十年で新たなスタンダードになったと言えるほど登場時から現在まで様々なアーティストに支持を得ているロングセラー商品です。
ver1.1から始まりver1.7まで0.1刻みでバージョンと、それに加えて最新のver2が存在し、随時バージョンアップされており、OCDサウンドを貫きつつ、ニーズに合わせて柔軟に変化してきた歴史があります。
FULLTONE/OCDのスペック
商品名 | OBSESSIVE COMPULSIVE DRIVE |
メーカー | FULLTONE |
概要 | オーバードライブ |
特徴 | ド定番のオーバードライブ |
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FULLTONE/OCDの使用アーティスト
- SPYAIRのUZ
- bloodthirsty butchersの吉村秀樹
- BugLugの一樹
- SHISHAMOの宮崎朝子
- People In The Boxの波多野裕文
- SCANDALのHARUNA
- Maroon 5
- JjmazのJames Valentine
- ColdplayのJonny Buckland
- Racer X
- Mr.BigのPaul Gilbert
上記以外にも相当数のアーティストが使用しています。
現在は少し落ち着きましたが、特に2010年代はインディーズアーティストの中でかなりのシェア率を誇り、当時筆者が活動していたライブの対バンイベントなどでは使用しているアーティストが必ずひとりは居た記憶があります。
FULLTONE/OCDの音質や特徴
特徴1 暖かく太い音色
こちらのFulltone OCDは、どんな環境でも暖かく太い音色で分離感のある音が鳴らせるのが特徴。
真空管アンプはもちろん、RolandのJC-120などのソリッドステートアンプなど、スタックタイプやコンボタイプなど、どんなタイプでも問わず、単音で弾く場合は太いリードサウンド、コードバッキングでは分離感のあるサウンドを鳴らすことが可能です。
また、温かみのあるサウンドキャラクターが特徴でレンジが広いまま耳に痛くない音作りが可能です。
特徴2 チューブアンプライクで弾きやすいサウンド
しばしば、こちらのFulltone OCDはチューブアンプライクのサウンドと評されます。
おそらく、それは音の太さやサウンドのナチュラルさを取り上げて評価されているのだと思います。
しかし実際に弾いてみると程よくコンプレッションが効いているので、チューブアンプほどのピッキングコントロールをしなくてもチューブアンプの様な活き活きとしたサウンドが出せます。
特徴3 深い歪み
ゲインを絞ればクリーンブースターとしても使えます。
こちらのイメージが強いのでナチュラルなペダルとしての印象が強いと思われますが、実際はかなり深く歪み、深く歪ませた時は荒々しいサウンドになります。
他にもLPモードとHPモードを切り替えられたり、Ver2では新たに内部にEnhanced BypassとTrue Bypassを切り替えるスイッチが増設され、さらに機能的になりました。
以上の様に幅の広いサウンドメイキングが可能で、先述した様に環境を選ばずナチュラルなイメージを保ったままOCDのサウンドが出せるのがFulltone OCDの最大の特徴だと筆者は考えています。
特徴4 広いレンジでの音作りが可能
広いレンジでアンプの迫力を保てる現代的な音作りが可能です。
よく定番と言われている他社のエフェクターは、正直アンプの素の音から少しレンジが狭まってしまい、現代の音楽では迫力があって存在感のあるサウンドが保てないなと思うことがあります。
当時はそのレンジ感でもよかったのですが、時代の移り変わりによりOCDのようにレンジ感を広く保てる歪みエフェクターが現代のスタンダードになっていったのではないでしょうか。
FULLTONE/OCDのデメリット
デメリット1 チューブアンプの様なサウンドのコントロールには適していない
謳い文句でチューブアンプライクなサウンドとよく評されていますが、実際のチューブアンプのような歪みのコントロールはあまり向いておりません。
チューブアンプのような太く暖かいサウンドは鳴らせるのですが、ある程度OCDで歪み加減やコンプレッションが効いてしまいます。
したがって、OCDで歪ませてギター本体などのボリュームやピッキングコントロールで歪み量やニュアンス、ダイナミクスをチューブアンプのように繊細にコントロールするのは向いていないです。
幅広いサウンドメイクができるOCDですが、良くも悪くもOCDのサウンドの範疇になってしまう印象です。
デメリット2 良くも悪くも太く存在感のあるサウンド
どんなセッティングでも太くてローミッドがしっかりしているサウンドが出せるので良くも悪くも存在感が出てしまうので大所帯の演奏形態だと少し目立ちすぎてしまうかもしれません。
とはいえボーカル、ツインギター、ベース、ドラム、キーボードくらいのセットであれば問題ないので、さほどデメリットにはならないでしょう。
バージョンの注意点について
バージョンごとにサウンドや仕様が違うと言われていますが全てを試していないのと、個体差もあると思うのでサウンドの特徴については明記しませんが、大まかに特徴や仕様をまとめます。
バージョンの移り変わりによって無くなった機能などはないので特にこだわりがなければ手に入れやすく、機能が増えたver2.0で良いのではないかと思います。
Ver.1.1、1.2、1.3はそれぞれ少しサウンドが違うようです。こちらの3バージョンはLEDが青色です。
Ver1.4からLEDは赤色に変更され、ノブの周りに矢印がデザインされています。Ver1.4〜1.7までは特に変更点はないようです。
ナンバリングが飛んで新登場したVer2.0には先述した様に内部にEnhanced BypassとTrue Bypassを切り替えるスイッチが増設されバッファーによるサウンドメイクが可能になっています。
FULLTONE/OCDの使い方や音作りのコツ
使い方1 JC-120などのクリーンサウンドアンプのメイン歪み
OCDだけで太くしっかりと深く歪むのでJC-120などのソリッドステートのクリーンアンプでも十分にオーバードライブサウンドを鳴らせることができます。
設定次第ではこれ一台で少し太くしたクリーンサウンド、バッキングに向いているクランチサウンド、ギターソロも余裕の太く迫力のあるリードサウンドが鳴らせます。
使い方2 クリーンブースター、ゲインブースターとしても
歪みの後段に繋げばナチュラルにプッシュしてくれるので、OCDの方でゲインを足しても前段の歪みのキャラクターを保ったままオーバードライブさせることが可能です。
もちろんOCDのゲインを絞れば歪み量を増やさずに音量のブーストも可能です。
程よくコンプレッションもされるのでリード用のブースターとして大変オススメです。
使い方3 アンプの歪みと組み合わせる
そのナチュラルさを活かしてアンプの歪みと組み合わせてサウンドメイクするのもオススメです。
音を潰さずに分離感を保ったまま深いオーバードライブサウンドにしたい場合や、少し重心を下げたい時、マーシャルなどのスタックタイプのアンプで音作りすると、少し耳に痛い音になってしまう時にOCDを活用するとちょうど気持ちの良いサウンドに音作りすることも可能です。
使い方4 9V以上の電圧で音圧アップ
通常、他の製品と同じく9Vで駆動しますが、パワーサプライなどで18Vまで昇圧可能です。
9Vの時よりも太く、迫力のあるサウンドになるので9V以上の環境が用意できるのであれば試してみるのもオススメです。
FULLTONE/OCDと似ている機材と比較
BOSSのBD-2と比較
エフェクターの王道のBOSSと比較するとほんの少し値段はFulltone OCDの方が高めですが、この十年でオーバードライブペダルのスタンダードはFulltone OCDに移り変わったと言っても過言ではないでしょう。
2010年ごろはBOSSのBD-2と比較されることが多かったですが、BOSSのBD-2からOCDに乗り換えるユーザーも多く、WAZAシリーズが出た後もその様な状況は変えられなかったと思われます。
他にも同価格帯の歪みエフェクターは多数見受けられますが、使い勝手の良さやサウンドなどから圧倒的なシェア率を誇っているのはFulltone OCDであると言えます。
FULLTONE/OCDを実際に使った感想
以前、ギターロックバンドや歌モノのポップスでは必ずと言っていいほど使用しておりました。
使用用途はシチュエーションによって様々でしたが、これがあれば安心できる機材として非常に優秀です。
ライブでの様々な機材での環境はもちろん、レコーディングでもマイクを通した音を聞いても印象が変わらないので音作りがしやすくとても頼れる機材です。
FULLTONE/OCDはこんな人におすすめ
発売当初はブティックペダルとしての評価が多かったと思われますが、近年のハイエンドペダルの登場や現代向けのサウンドで一気にその勢力図を塗り替えたFulltone OCDはかつての往年の名機に変わってスタンダードになった歪みエフェクターだと思います。
もちろん昔から存在する機材もとても素晴らしいですが、現代のスタンダードとして一度は体験しておかなければならない機材になったと言えるでしょう。
初心者の方はド定番のFULLTONE/OCDを基準に音作りの研究を始めるのが成長の近道かと思います。
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