この記事ではTC ELECTRONICのThe Dreamscapeのレビューと使い方を解説しています。
また、効果的な音作りのコツの方法もあわせて解説します。
こんな人におすすめ。
ジョン・ペトルーシのファン
ダウンロードできる沢山のプリセット
VIB2が単音弾きに合う
エドワードヴァンヘイレンのフランジャーサウンドにも
The Dreamscapeとは?
TC ELECTRONICの「The Dreamscape」はアメリカのプログレッシブ・メタル・バンドの「ドリームシアター」のギタリスト「ジョンぺトルーシ」のシグネチャー・モデルの「モジュレーション系エフェクター」です。コーラスとフランジャーとビブラートをモードで選べて各パラメーターを細かく設定できます。
The Dreamscapeの使用アーティスト
「The Dreamscape」を語る上で欠かせないのは、このエフェクターのサウンド設計に関わったドリーム・シアターのギタリスト「ジョン・ペトルーシ」です。ジョン自身TC ELECTRONICのエフェクターの長年の愛用者であり様々なTCのエフェクターの「Tone Print」のプリセットにもジョンの名前を見かけます。そんな貢献度を認められてなのでしょうか「ジョンのプリセットをまとめて一つのエフェクターにしてしまえ」と言っているような内容のエフェクターです。ジョンのギタープレイもさることながら、ドリーム・シアターの壮大なスケールの楽曲を彩っているのは「The Dreamscape」です。ジョンが今まで世界中のギタリストに提供してきた5種類のプリセットと、新たに制作されたフランジャーの計6種類のプリセットをデフォルトで搭載しているのですから、ドリームシアターサウンドが手軽に手に入ってしまうのです。
The Dreamscapeのコントロール部
■ DEPTH
揺れの深さを調整できます。
■ SPEED
揺れの速さを調整できます。
■ FX LEVEL
エフェクトの音量を調整できます。
■ Tone Print
ジョン・ペトルーシによる6種類のTone Printが搭載されています。
▪ CH1
クリーン・コーラスのプリセットです。ジョン・ペトルーシがずっと使っているコーラスです。
▪ FLA1
クリーン・フランジャーのプリセットです。コーラスっぽいのですが、後ろの方でうねるようなフランジャー・サウンドが嫌味なく聞こえアルペジオによく合いそうです。
▪ VIB1
クリーン・ビブラートのプリセットです。「レズリースピーカーをイメージして作った」とご本人もおっしゃっていたとおりに、緩く揺れるアナログ・ライクなビブラート・サウンドです。
▪ CHO2
クランチ・コーラスのプリセットです。歪んだ音でのアルペジオもドリーム・シアターの曲中によく出てきますが、まさにそのサウンドですね。ワイルドにコードを弾く時にも、このコーラスがかかっていますと音の分離がよく聞こえます。
▪ FLA2
クランチ・フランジャーのプリセットです。曲のテンポにスピードをだいたい合わせてミュート弾きをすると、ピッキングに合わせて揺れが絡みついてくるような、クラシックなジェット・フランジャー・サウンド効果が得られます。
▪ VIB2
クランチ・ビブラートのプリセットです。速いテンポの曲での「オクターブ奏法」やハードな曲のリフに合いそうな少し薄目に設定されたビブラート・トーンです。ご本人は「単音弾きに合うよ」とおっしゃっていました。
上部にトーン切り替えの三段階のミニスイッチがあります。
Bright/Normal/Darkの3つから選ぶことが出来ます。
The Dreamscapeの音質や特徴
特徴1 Tone Printモードは3つのノブで調整可能
ジョン・ペトルーシによるオリジナル・プリセットは固定のTONEやDEPTHではなく、3つのノブで好みの音に調整できます。ジョンのアイデアを軸に、自分自身のギターやアンプのカラーに合わせてサウンドを変えられるなんて、ジョン・ペトルーシ・ファンにとってはこの上ないTCからの贈り物ですよね。
特徴2 Tone Print機能
もちろん他のアーティストが制作したオリジナル・プリセットもダウンロードすることができます。
The Dreamscapeのデメリット
デメリット1 沢山のプリセットで迷いがち
6種類の使えるプリセットに加えTone Printによってダウンロードできる沢山のプリセット。どれをどんな風に使うのかは自由なのですが、迷ってしまいモジュレーション・サウンドの沼にハマってしまいそうです。贅沢な悩みとなりますが、可能性がありすぎるというのも考え物です。現在決めているプリセットにすぐ不満をもってしまい、落ち着かず肝心なプレイに集中できなくなるかも知れません。
The Dreamscapeの使い方や音作り
使い方1 きらびやかなコーラス
プリセットしたのが「ジョン・ペトルーシ」ですから当たり前なのですが、CH1の音は映画のサントラに使われていそうな壮大なプログレッシブ・ロック・サウンドにとても合います。オープン・コードでアルペジオを弾いていますと、どんどんイメージが広がってくるコーラス・サウンドです。このエフェクターを購入したことで一曲書けてしまいそうな勢いです。
使い方2 歪みペダルとの併用
CH2は歪みとの併用にプリセットされています。結構強力に歪ませても、コーラス・サウンドがコードにまとわりつく様に新しい命を吹き込んで単調なコード弾きを明快にします。コーラスを歪んだギター・サウンドにかけるっていうのは、一昔の音作りになっていましたが、The Dreamscapeのサウンドはモダンな雰囲気がすると同時に新しい何かを感じる使える音です。
使い方3 フランジャーはエディ風で
ご本人にもおっしゃってましたがFLA2は「故エドワードヴァンヘイレン」のフランジャー・サウンドっぽいです。これはもうあまりイジらずに「エディ風フランジャー・サウンド」でバッキングのメリハリにソロの突入部分にと使っていきましょう。
The Dreamscapeと似ている機材と比較
MONTREUX Retrovibe Flanger/Chorusとの比較
こちらの方がお値段高めですので同価格帯とはなりませんが、少し似ている機能と正反対にあるサウンドのため比較対象といたしました。大きな違いはビブラートが付いていない事とTone Print機能がない事ですが、アナログならではの太いフランジャー・サウンドが音作りの迷いを振り払ってくれます。コーラスも使えるサウンドですが、若干自己主張の少ない揺れとなっています。「音作りは悩みたくないが、綺麗なモジュレーション・サウンドは欲しい」という方にはお勧めです。
The Dreamscapeを実際に使った感想
他のメーカーのコンパクトエフェクターは「昔の物の方が良い」なんてことも起こり得ますが、TC ELECTRONICのエフェクターに関しては新製品のクオリティがどんどん上がっていっていますので、懐古趣味は当てはまらない気がします。それよりは、弾き手のこちらが進化に置いて行かれないように情報やアップデートに敏感でいなくてはいけません。なんでもありで敬遠してしまいそうなTC ELECTRONICのエフェクターの世界ですが、Tone Printに参加しているミュージシャン達とタッグを組み、一体となって良質のサウンドを届けようとしている姿勢が伝わってきます。どう使うかは我々の自由でありますが、弾いていてイマジネーションを掻き立ててくれるエフェクターって素敵ですよね。
The Dreamscapeのはこんな人におすすめ
■ ドリーム・シアターのファンだ。
■ モジュレーション系のエフェクターを探しているが失敗したくない。
■ スイッチャーまでは組みたくないが、コーラスの音色はいくつか欲しい。
ふり幅が広くどんな姿にも形を変えて、ギタリストの要望を満たし続けるモジュレーション系のマルチ・エフェクター「The Dreamscape」は購入しても失敗することがないエフェクターです。サウンドが気に入らなければ買い替えるのではなく、中身を入れ替えられるのですから損をする事はないと思います。
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