今回は、5年以上DSL5Cギターコンボアンプを使ってきた私が、改めてDSL5Cの魅力や使い方についてもレビューしたいと思います。
また、DSL5Cは2018年から新モデルが登場しているため、新旧の違いもまた触れていきたいと思います(私は両方持っていますが現在、新型を使用しています。)
DSL5Cとは?
DSL5Cは、Marshallから発売された真空管ギターアンプです。
本格的な真空管サウンドが自宅でも楽しめる上、真空管を搭載してあるにも関わらず手に入りやすい価格が大変魅力的です。
もちろんサウンドだけでなく、3バンドEQやウルトラゲインモード、リバーブ、センドリターン、フットスイッチ接続対応と、機能面においても実に本格的。
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Marshall/DSL5Cの新旧の違い
DSL5Cは2018年にリニューアル
先ほど述べたように、DSL5Cは2018年からリニューアルモデルとなりました。
では、新型DSL5Cはそれ以前の旧型DSL5C(2017年に生産終了)とはどう異なるのでしょうか?
結論から言いますと、以下のような違いがあります。
- プリアンプの再設計
- CLASSIC GAINにGAINノブが追加
パッと見どういったものかわかりにくいかもしれませんが、これらはどれも「使える機能」なのです。
それでは、一つずつこの違いを見ていきたいと思います。
プリアンプの再設計
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、ここで軽くプリアンプとは何かについて触れておきたいと思います。
DSL5Cのようなコンボ型ギターアンプは、
- プリアンプ
- パワーアンプ
- スピーカー
の3つのセクションから構成されています。
その中でも「プリアンプ」はイコライザーなどによって音質を決定させる重要な部分です
(プリアンプで作られた音質はその後「パワーアンプ」を通過して増幅され、「スピーカー」でその音が出力されます)。
DSLシリーズ自体JCM2000というマーシャルの代表機種をよりコストダウンさせて再現したものですが、新型にアップグレードしたことによってさらにそのJCM2000らしさが強くなったのです。
正直、自宅だけで使用するのであれば、新型DSL5CとJCM2000の音の違いはほとんどわかりません。
それほどJCM2000に肉薄したサウンドです。
特に、DSL5CをUltra Gainチャンネルで使用するとJCMらしさを感じられます。
DSL5Cのキレのありながらも、中音域が豊かなディストーションサウンドはまさにJCM2000そのものです。
クラシックゲインにGAINノブが追加
DSL5Cは新旧問わずCLASSIC GAIN(クリーン)とULTRA GAIN(歪み)チャンネルの切り替えが可能です。
そして、新型だけにはこのCLASSIC GAINチャンネルの方にGAINノブが追加されました
旧型はVOLUMEノブのみ
GAINノブが追加されたことによって、CLASSIC GAINチャンネル時の歪み量を調整することが可能です。
例えば、音量が大きいために歪んでしまったクリーンサウンドもGAINノブで調整してやれば、大音量でも透き通るクリーンサウンドにできます。
Marshall/DSL5Cの音質や特徴
本格的な真空管サウンド
今どきの自宅練習用のアンプは基本的にはトランジスタアンプという真空管を積んでいないタイプのアンプがほとんどです。
安価だったり、扱いやすかったりとメリットもいくつかあるトランジスタアンプではありますが、サウンドは良くも悪くもあの硬くて冷たさのある「トランジスタの音」です。
こういった自宅練習用の安価なトランジスタアンプの中には、真空管のサウンドをモチーフにしたものも中にはあります。
しかし、そのほとんどは真空管に寄せたトランジスタの音で、本物の真空管の音とはかなり異なるものです。
という風に、普段からライブやスタジオで真空管アンプを使っている人にとっては、自宅練習用アンプというと安価で音はそこまで良くはないというのが一般的なイメージでしょう。
また、ギターアンプでおなじみのMarshallから発売されているということもあって、DSL5CはスタジオやライブハウスによくあるMarshallの「あの音」がなります。
スタジオに置いてあるあのMarshallの音が自宅でも奏でられるというのは嬉しいですね。
もちろん自宅練習以外に、ちょっとした小規模ライブであってもその真価は十分発揮されます。
自宅練習にちょうど良いサイズ感
DSLシリーズにはDSL5C以外にも、DSL1CやDSL20Cなどたくさんの種類があります。
これらはW数(出力)の違いはもちろん機能面にも違いがあり、どれにしようか迷うところではあります。
というのも、DSL5Cは自宅練習の上ではW数がちょうどよく、機能面も自宅練習の上では十分だからです。
また、サイズも自宅練習用にはぴったり。
DSL5Cとよく似たDSL1CとDSL20Cとの比較は、後でより詳しく説明したいと思います。
扱いやすく豊富な機能
DSL5Cのフロントパネルを見てみると、スタジオに置いてある大型のヘッドアンプと比べて随分スッキリしていると思います。
簡単に紹介すると
- ノブはGAINとVOLUME
- イコライザー(TREBLE、MIDDLE、BASS)
- リバーブ
です。
このように、少ないノブの数でありながらも、「結局はこれだけあれば十分」という分だけの機能となっています。
また、スイッチ類は以下の通りです。
- Channel Select(クリーンチャンネルか歪みチャンネルかを切り替え)
- Tone Shift(ドンシャリサウンドに変化)
- Deep(大型アンプのような迫力のある低音を追加)
これらの操作はボタンを押すだけと簡単でその効果はハッキリとわかります。
DSL5Cはとにかく操作が簡単で、買ったその日からすぐに使いこなすことができるかと思います。
続いて、リアパネルを見てみます。
- FX LOOP(SEND/RETURN)→空間系のエフェクターを接続できる端子
- F/S→フットスイッチを接続できる端子
- AUDIO IN→スマホなどを接続してオーディオを再生できる
- EMULATED OUT→ヘッドホンに接続し、ヘッドホンから再生できる端子
- LOW POWER→5W出力と0.5W出力の切り替えができる
リアパネルにはいろんな機能がついていますが、どれも使える機能だと思います。
例えば、AUDIO INにスマホを接続、EMULATED OUTにヘッドホンを接続すれば、スマホで再生している音楽に合わせてヘッドホンで音を聴きながら練習するといった使い方ができます。
また、LOW POWERスイッチで出力を変更できるので、もう少し小さい音で練習したいというときには、結構使えます。
DSL5Cはこのように、機能は豊富でありながらも、どの機能もわかりやすく使いやすいものばかりなのです。
Marshall/DSL5Cのデメリット
ややノイズがある
DSL5Cのデメリットは、真空管アンプ全般のデメリットとも言い換えられます。
真空管アンプはトランジスタアンプとは異なり、真空管というアナログな部品でサウンドを作り上げるため、必然的にノイズや雑味も少し多くなるかと思います。
とくにUltra Gainチャンネルで歪みがかなり多いときはノイズも乗っかりやすいです。
また、シングルコイルピックアップを搭載しているギター(一般的なストラトやテレキャス)を接続しているときにもノイズが感じられます。
そのため、ノイズ対策はしっかり行っておきましょう。
具体的には、シールドやピックアップを低ノイズなものに交換、ノイズゲートを挟むなどすると改善されます。
真空管の取り扱い
こちらも真空管アンプ全般に言えることではありますが、真空管の取り扱いには特に注意を払う必要があります。
真空管は「管」とついている通りチューブ状のガラスで、乱暴に扱うとすぐに割れてしまいます。
キャリーカートや車でアンプを運搬するときには、衝撃を与えないように気をつけなければいけません。
なので、取り回しの面では、真空管はトランジスタアンプより劣ります。
また、真空管は消耗品であるため、使えなくなってしまったら交換する必要があります。
このように、メンテナンスの面においても都ランジスタアンプと比べて少々面倒ではあります。
DSL5Cの使い方や音作りのコツ
チューブスクリーマーでブースト
ギター界隈ではかなり有名なセッティングではありますが、この組み合わせは本当にいいです。
まず、DSLをUltra Gainチャンネルにして歪みは多め、イコライザーは自分好みに調整します。
次に、チューブスクリーマー(TS9やTS808)をオンにして、GAINは0、TONEは適宜調整します。
あとは、レスポールなどのハムバッカーピックアップでかき鳴らせば、完全に「あの音」です。
Marshallアンプにありがちなキンキンとした高音がチューブスクリーマーのボワッとしたサウンドで調和され、とにかく分厚く塊のようなディストーションサウンドになります。
ハードロックやパンクが好きな方にとってこのサウンドはたまらないと思います。
私はSlashが大好きなので、よくこのセッティングでSlashになりきっています(腕前は別として)。
もちろんハムバッカーじゃなきゃダメというわけではなく、シングルコイルのストラトやテレキャスターとも相性抜群です。
ハムバッカーのようなロックなサウンドは少し作りにくいですが、シングルコイルならジャキッとしたキレのあるサウンドを鳴らせます。
よくJ-POPなどで聞けるあの王道のサウンドで、カッティング奏法なんかと相性がとてもいいです。
DSL5Cを買った時はどんなギターをお持ちであれ、チューブスクリーマーも持っておけば、DSL5Cを120%は楽しめるんじゃないかなと思います。
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MIDDLEとBASSは上げめに
Marshallのアンプ自体高音がかなり出るアンプなので、そこをおさえて低音と中音域をグンと持ち上げればゴッとインパクトのある歪みサウンドが作りやすくなります。
特にダウンチューニングを多用するという方にはぜひ試していただきたいセッティングです。
このように、自分はどんなジャンルの曲を弾くかでセッティングは変わっていくので、いろいろ試してみるといいでしょう。
真空管とスピーカーを交換する
音に相当なこだわりのある中級者以上の方向けですが、真空管やスピーカーを交換してオリジナルのDSL5Cにカスタマイズすることもできます。
真空管やスピーカーを交換するだけでも音はかなり変化します。
どのように音が変化するかはギターアンプ向けの真空管やスピーカーについて調べてみると良いです。
しかし、ただ買ってきた真空管やスピーカーをポンづけすればいいだけでなく、バイアス調整といった少し専門的な知識も必要なので、初心者の方にはあまりオススメできません。
真空管やスピーカーについてある程度知識があるという方はぜひ挑戦してみてください。
Marshall/DSL5CとDSL1CとDSL20Cの比較
先ほども述べたようにDSL5Cに似た機種として同シリーズのDSL1CとDSL20Cがあげられるかと思います。
W数(出力)の違い
まず、明らかな違いとしてそのW数(出力)に違いがあります。
- DSL1C→1W
- DSL5C→5W
- DSL20C→20W
W数が大きいほどより大音量です。
機能面の違い
続いて、機能面です。
- DSL1C→クリーンチャンネルにGAINノブがなく、フットスイッチも接続できない
- DSL5C→Deepスイッチを搭載
- DSL20C→イコライザーにPRESENCE(超高音域)ノブとRESONANCE(重低音)ノブを搭載
W数が高くなるにつれて、搭載している機能も増えていきます。
価格面の違い
最後に、価格面です。(すべて税込、おおよその市場価格)
- DSL1C→36000円程度
- DSL5C→45000円程度
- DSL20C→66500円程度
DSL1CとDSL20Cは30000円近くとかなりの価格差が開きました。
以上に3機種の違いはこのような感じです。
その中で、私は今回紹介したDSL5Cが自宅練習としては一番ちょうどいいと考えています。
というのも、DSL5Cは出力がちょうど良く、機能も必要十分で、なおかつコスパがいいからです。
DSL1Cは1Wということでややパワー不足であるかなと感じました。
せっかくの真空管なので少し大きめの出力じゃないと真価は発揮されにくいのではないかと思います。
一方のDSL20Cは、確かに魅力的ではありますが、自宅練習用としては必要以上であるように思います。
20Wとかなりの出力ですが、自宅では20Wだとめちゃくちゃうるさいです。
また、PRESENCEなどもあまり使わないかなと思います。
ということで、私はDSL5Cをオススメしますが、DSL1CとDSL20Cにもそれぞれの良さがあるので、軽くまとめておきたいと思います。
- DSL1C
-
音量は出来るだけ小さく済ませたい、必要最低限でコスパ最強の真空管アンプを求める人向け
- DSL5C
-
そこそこの音量が出せ、十分な機能性を求める人向け
- DSL20C
-
かなりの爆音も出せる環境があり、機能面で一切妥協したくない方向け
Marshall/DSL5Cを実際に使った感想
私はDSL5Cを5年以上使ってきましたが、冗談抜きで不満は何一つありませんでした。
自宅でもスタジオに置いてあるような真空管のMarshallアンプの音を鳴らしたいと思ってこのDSL5Cを購入しましたが、期待通りのサウンドで大満足です。
以前はMarshallのサウンドをシミュレートした小型のトランジスタアンプを使っていましたが、やはり音のニュアンスや自然な減衰感は本物の真空管アンプじゃないと得られないものでした。
少なくとも、私はこのアンプを買って正解だったと確信しています。
Marshall/DSL5Cはこんな人におすすめ
いかがだったでしょうか。
DSL5Cはどんなギタリストの方にもオススメできる一台だと思います。
特に、
- 自宅練習用アンプでも音に妥協したくない方
- 扱いやすくて機能が充実したアンプを求めている方
- Marshallアンプが好きな方
- 真空管アンプが欲しいけどコスパも重視したい方
に、超オススメです。
自宅練習用でありながら超本格的な真空管サウンドが鳴るDSL5C。
その正真正銘のチューブ・サウンドをぜひ一度自宅で体験してみてください。
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