BOSS/DI-1 ダイレクトボックスのレビュー!使い方もしっかりと解説

BOSS/DI-1とは?

楽器用エフェクターメーカーとして有名なBOSSから販売されている『ダイレクトボックス』です。

堅牢なプロ仕様のケースに収められているので、かなりの衝撃を受けてもビクともしません。

PA(コンサートやライブの音響)やレコーディングを問わず、幅広く利用されているので、どこのスタジオでも1台は所有しているほどのスタンダードなDI(ダイレクトボックス)です。

目次

DIとは?

DIとは、ダイレクト・インジェクション・ボックス(Direct Injection Box)の頭文字で、一般的にはダイレクトボックスと呼ばれています。

 エレキベースやキーボードを『ライン録り』する時に使用される機器で、ライブなどではベースアンプの上に置かれている小さな黒い箱がそれです。

BOSSのDI-1のDIという名前は、これに由来していると思われます。

BOSS/DI-1 ダイレクトボックスの特徴

特徴1 フル・アクティブ回路

DI-1はアクティブ回路なので、パッシブDIのようにゲイン不足になる心配はありません。

又、トランスを使っていないので、クセが少ない素直な音質を得ることができます。

電源は006Pまたはファンタム電源(24V~48V)のいずれにも対応しているので、様々なシーンに対応できます。

更に、『オート・パワー・オン/オフ回路』を装備しているため、演奏していないときは自動的に電源がオフになります。 電池交換の回数を減らすことができますので、経済的にも心強いですね。

特徴2 アンバランスアウトとパラアウトを装備

通常のダイレクトボックスは入力(楽器から)が1つ、シールド用出力(楽器アンプへ)とキャノン出力(ミキサーへ)の2つなのですが、DI-1の場合は出力がバランスアウト(キャノン出力:ミキサーへ)のほかにアンバランスアウト(DIの回路を経由したシールド用出力)とパラアウト(入力をそのままシールド出力へ)の3つの出力があります。

ベーシストの中には「DIを通すとアンプの音が変わるから嫌だ」とDIを嫌う人もいますが、パラアウトを使えば、そんなプレイヤーにも対応できます。

特徴3 入力アッテネーター

アクティブ回路のデメリットとして、入力信号の大きさに制限があることが挙げられます。

つまり、設計時に想定した音量以上の信号が入ってきた場合にレベルオーバーとなり、音が割れてしまうのです。

音響の世界で「音が割れる」という状況は、実生活に置き換えると「水を汲もうとしたのだけれど、水量が多すぎてこぼれてしまった」ということと同じです。

一度こぼれてしまった水は、元に戻すことができません。

それと同じで、一度割れてしまった音は、どんなに腕のいいミキシングエンジニアでも元に戻すことはできません。

音が割れるという状態は、音声信号の一部分(波形の山の頂点)が欠損してしまうのです。

ですから、プロの世界ではレベルオーバーは厳禁なのです。

水をこぼさないで汲むためには、水の量を減らす(調整する)必要がありますね。

オーディオ信号も、アッテネーターを通すことにより、入力されるレベルを小さくすることができ、うまく入力できるように調整できるのです。

日本語では『減衰器(音量を減らす回路)』と言います。

DI-1は、これにより幅広い入力信号に対応できる設計になっています。

特徴4 フェイズ・スイッチ

マイクをつなぐときに使う『キャノン・ケーブル』には3つのピン(オス側)、反対側は3つの穴(メス側)があります。

それぞれのピン(穴)には番号が付いていて、現行のプロ用オーディオ機器には以下のような規格があります。

1番ピン:Earth(アース:交流のゼロボルト)

2番ピン:Hot (ホット:交流のプラス側)

3番ピン ;Cold(コールド:交流のマイナス側)

フェイズ・スイッチは、2番ピンと3番ピンをチェンジするスイッチです。

つまり、2番ピン:Cold(マイナス)、3番ピン(ホット)にすることで、『逆相(ぎゃくそう)』を回避するための回路です。

BOSS/DI-1 ダイレクトボックスのデメリット

デメリット1 グランド・リフトスイッチが変!?

ダイレクトボックスには『グランド・リフト』と呼ばれるスイッチが付いている機種があります。

この回路は、ノイズが混入した際にこのスイッチを作動させるとノイズ処理ができるかもしれない(ノイズが消えないことが多いですが・・)というものです。

通常のダイレクトボックスは、バッテリー駆動、ファンタム電源駆動ともに問題なく利用できるのですが、DI-1の場合は、バッテリー駆動時しか使用できません。

というのも、DI-1の場合はファンタム電源駆動時にグランド・リフトスイッチを使うと、電源がオフになってしまうからなのです。

他社製のダイレクトボックスでは、このようなことはありません。

どのような意図でこのような設計になっているのかわかりませんが、発売から40年近くたった現在でも、改善されていません。

本当に不思議な限りです。

ちなみに、その原因はバランスアウト(キャノン出力)の1番ピンをEarthと切り離してしまうので、ファンタム電源のゼロボルトもリフト(オフ)になり、電源供給がストップしてしまうことにあります。

このことは、本体上部に記載された回路図で確認しました。

デメリット2 ノイズが乗ることが多い

DI-1は楽器やアンプとの相性が大きいようです。

たまに「ジー」というノイズが混入することがあり、他社製のダイレクトボックスに交換するとノイズが消えることが多々ありました。

自宅録音では許されるレベルかもしれませんが、プロが使う場合は無視できません。

DI-1 ダイレクトボックスの使い方やセッティング

使い方等1 簡易ミキサー

先ほども触れましたが、DI-1には他社のダイレクトボックスにはないパラアウトが装備されています。

この回路は、単純にインプットを二股に分けて出力しているだけなので、2インプットとしても使用できます。

私がよく行う使い方は、ステレオ出力をモノラルにしたいときに、インプットにLチャンネル、パラアウトにRチャンネルをつなぐという方法です。

これで、簡単にモノラルミキシングができるだけでなく、バランス出力にもなるので、ミキサーが1台節約できるというわけです。

使い方等2 楽器用プリアンプ

ライブなどで、長いシールドを使うことはよくありますね。

その際、電池を使わないタイプのエレキベースやエレアコなどは、長いシールドを使うとノイズが乗ったり、音質が悪くなるなどのトラブルに見舞われることがあります。

その原因は、電池を使わないパッシブ方式のピックアップは、インピーダンスが高いことにあります。

DI-1を通してアンバランスアウトからアンプにつなげば、インピーダンスを下げることができるので、ノイズが少ないスッキリとした音になるはずです。

つまり、DI-1をプリアンプとして使うのです。

使い方のコツは、楽器からDI-1までのシールドをなるべく短くすることです。

逆に、長くすればするほど、DI-1の効果がなくなってしまいますので、注意してください。

シールドが長くなる場合はコチラがおすすめ

DI-1と競合する他社製の機材と比較

多くのPA会社やレコーディングスタジオで使用されているDI-1ですが、このほかにも世界的に有名なダイレクトボックスにCOUNTRYMAN製TYPE85という製品があります。

このダイレクトボックスは、アメリカ製で価格は2万円程度(税込)と高価です。

一方で、DI-1は税込みでも1万円少々とリーズナブルです。

つまり、TYPE85が1台でDI-1が2台買える計算になるのです。

このように、コスパ的にはDI-1の方が断然に有利です。

更に、TYPE85には大きな問題があります。

それは、TYPE85のHotが3番ピンということです。

現在の音響機器は「2番Hot」が主流なので、そのまま使うと逆相になってしまいます。

これは、1970~80年代頃まで、アメリカ製の音響機器は「3番Hot」であり、COUNTRYMANもアメリカのメーカーだったことによるものです。

そこで、TYPE85を所有しているPA会社やレコーディングスタジオが行っているのは「改造」です。

TYPE85を新規で購入したら、最初に行うことはケースを開けてキャノンの2番ピンと3番ピンの配線を付け替えるのです。

たったこれだけの改造ですが、実行することで「逆相」という大きなトラブルを回避することができるのです。

このように、DI-1と比較してメリットが少ないような印象を受けるTYPE85ですが、決してそうではありません。

DI-1でノイズが乗ってもTYPE85に交換したらノイズが止まったという経験は数多くしているので、安定性や信頼度については、TYPE85に軍配が上がると思います。

BOSS/DI-1 ダイレクトボックスを使った感想

DI-1はTYPE85の半額で購入でき、フェイズ・スイッチのおかげで改造する手間もかからないコスパに優れたダイレクトボックスです。

私はレコーディングエンジニアでもあるので、実際のレコーディングで何度も使用していますし、個人的にも3台所有しています。

非常に使いやすく音質も満足しているのですが、ライブで使用するときはスイッチが多いことが難点になる場合があります。

例えば、プレイヤーの人が、ちょっと場所を移動させようと何気なく触った際に4個あるスイッチのどれかを動かすと、それだけで大トラブル発生です。

「いきなり音量が下がった(アッテネーターを触ったことが原因)」とか「音が出なくなった(グランド・リフトを触ったことが原因)」など、実際に何度もピンチを味わいました(笑)

DI-1は、レコーディングのようにじっくり構える仕事では多機能なスイッチ類があって重宝しますが、ライブのようなスピード感や緊張感がある現場では、それらが逆効果になるリスクがあるのです。

又、スイッチが多いということは、故障する箇所も多くなるということも言えます。

ライブではシンプルな機材ほど安心なので、その点でDI-1は注意が必要な機材ということです。

BOSS/DI-1 ダイレクトボックスはこんな人におすすめ

DI-1は競合するTYPE85よりもコスパに優れているので、プロの音響さんだけでなく、アマチュアユーザーにも十分に手が届くダイレクトボックスだと思います。

何しろ1万円少々という価格は、コンパクトエフェクターと変わらない設定なので、宅録プレイヤーやギター、ベース演奏をメインとしたYouTuberの方々にもおすすめの1台です。

又、パッシブタイプのエレアコも、そのままミキサーへつなぐとぼやけた音になってしまいますが、DI-1を通してインピーダンスを下げればクリアな音になることは間違いありません。

エフェクターのように音を加工する機材ではないので、ダイレクトボックスのメリットは分かりにくいと思います。

しかし、出音(でおと)にこだわるプレイヤーさんなら、一度使えば手放せなくなるでしょう。

是非、試してみてください。

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